緋線(想可奈)
長いお盆帰省から帰ってまいりました。
2週間更新なしですみませんでした!
ネット環境が確保できないので、やっとこさの更新になります。
とは言っても、3編なのですが……
あっちの方が全然終わんないのでなんだかなぁもうといった感じです……
頭の中のタガが外れてしまったのか、両思い未満の感じのものが書けませんでした……大好物なんですけれども。
あっちが終わるまではしばらくはいちゃらぶい物ばかりになってしまうやもしれません。
タイトル前に記号でもつけてジャンル分けした方が良さそうな気がしてきました。
そのうち改装するかもしれません。。。
そんなこんなで、帰省中作赤い三連作、一つ目です。↓
指先に赤い線が浮かぶ。
ページをめくる時に指に白線を刻んだのは数分前で。
朱が走らないのをいいことに、そのまま見て見ぬフリをした。
つきりつきりと痛みはあったが、思考しながら本に意識を移すと、不思議と感じなくなっていった。
人間の体というのは、あいまいな所もあるんだな、と溢れかかる血を見て変に感心する。
ぼーっと傷口を眺めていると、飲み物を持ってきた可奈に、見つかった。
ああもう、と慌てた様子で躊躇なく手を取り、指を口に含む。
傷口に舌がざらりと当たる。
まとわりつくようなその感覚に、背筋がぞわりと騒ぐ。
あまりに自然な様子で口元に運ぶものだから、手を引くタイミングを完璧に逃してしまった。色々と連想させるその行為に、他意はない。そんなのは解りきっている。けれど。
当の本人はお構いなしに指を吸い上げる。
切り口が締め付けられ、刺すような痛みが走る。
いたた、と声を上げ顔を思わずしかめると、あきれたような半目がのぞき込む。
少々怒っているようだ。
強く吸ったのはそのせいか。
噛みつかれなかっただけましなのかもしれない。
「僕の指、おいしいですか?」
ともすると指先の感覚に全神経が集中しそうなのを堪え、なんとか言葉を探すが、なかなかいい台詞が思いつかない。なんとも間抜けな問いに、彼女はするりと指を口から抜いた。その仕草に意識が染まりそうになるが、なんとか思い留める。
あのなぁ、と心底呆れた声で睨まれる。
「手を切ったならさっさと声かけてよね。そしたら一緒に絆創膏持ってくるのに」
考え事始めたら他のこと全部後回しになるってことは理解してるけどさ、とため息混じりに吐かれると、なんだか申し訳ない気持ちも沸いてくる。いろいろな意味で。
そんな機微を感じ取ったのか、再度、よくよく彼女は目を合わす。
小さな子どもに諭すような、語る目だ。
「そのままにしてたら燈馬君も手が痛いまんまだし、本も汚れるでしょ?」
紙に血染みがついたら落とせないんだよ?
若干白くなった指を見つめながら、いつも通りの調子で。
そこには心配以外の何にも含みはない。
その言い方だと僕の怪我は本以下ですよね。
そんなことはないと解っていても、心の中で嘆息する。
ここまで煽っておいて、こんな仕打ちはない。
くるりと踵を返し、絆創膏と消毒液とってくるわ、と部屋を出ていく後ろ姿を見送り、自分でも改めて傷口を眺める。
強く吸われたため、溜まった血は抜けており、また浮いてくるまでには少し時間がかかるだろう。
今は傷口の痛みより、動悸や諸々の方が痛い、と苦々しい気分になる。
どうにかこの、意識とは別に昂った体を納めなくては。
全く持って、男性の体というものは面倒くさい。
水原さんには言えないけれど。
無自覚は、罪だな。
急ぎ、救急箱を手に戻ってくる姿が目に映る。
手荒く手当をされるんだろうな、と少し心配しつつ、目を細めて到着を待った。
2週間更新なしですみませんでした!
ネット環境が確保できないので、やっとこさの更新になります。
とは言っても、3編なのですが……
あっちの方が全然終わんないのでなんだかなぁもうといった感じです……
頭の中のタガが外れてしまったのか、両思い未満の感じのものが書けませんでした……大好物なんですけれども。
あっちが終わるまではしばらくはいちゃらぶい物ばかりになってしまうやもしれません。
タイトル前に記号でもつけてジャンル分けした方が良さそうな気がしてきました。
そのうち改装するかもしれません。。。
そんなこんなで、帰省中作赤い三連作、一つ目です。↓
指先に赤い線が浮かぶ。
ページをめくる時に指に白線を刻んだのは数分前で。
朱が走らないのをいいことに、そのまま見て見ぬフリをした。
つきりつきりと痛みはあったが、思考しながら本に意識を移すと、不思議と感じなくなっていった。
人間の体というのは、あいまいな所もあるんだな、と溢れかかる血を見て変に感心する。
ぼーっと傷口を眺めていると、飲み物を持ってきた可奈に、見つかった。
ああもう、と慌てた様子で躊躇なく手を取り、指を口に含む。
傷口に舌がざらりと当たる。
まとわりつくようなその感覚に、背筋がぞわりと騒ぐ。
あまりに自然な様子で口元に運ぶものだから、手を引くタイミングを完璧に逃してしまった。色々と連想させるその行為に、他意はない。そんなのは解りきっている。けれど。
当の本人はお構いなしに指を吸い上げる。
切り口が締め付けられ、刺すような痛みが走る。
いたた、と声を上げ顔を思わずしかめると、あきれたような半目がのぞき込む。
少々怒っているようだ。
強く吸ったのはそのせいか。
噛みつかれなかっただけましなのかもしれない。
「僕の指、おいしいですか?」
ともすると指先の感覚に全神経が集中しそうなのを堪え、なんとか言葉を探すが、なかなかいい台詞が思いつかない。なんとも間抜けな問いに、彼女はするりと指を口から抜いた。その仕草に意識が染まりそうになるが、なんとか思い留める。
あのなぁ、と心底呆れた声で睨まれる。
「手を切ったならさっさと声かけてよね。そしたら一緒に絆創膏持ってくるのに」
考え事始めたら他のこと全部後回しになるってことは理解してるけどさ、とため息混じりに吐かれると、なんだか申し訳ない気持ちも沸いてくる。いろいろな意味で。
そんな機微を感じ取ったのか、再度、よくよく彼女は目を合わす。
小さな子どもに諭すような、語る目だ。
「そのままにしてたら燈馬君も手が痛いまんまだし、本も汚れるでしょ?」
紙に血染みがついたら落とせないんだよ?
若干白くなった指を見つめながら、いつも通りの調子で。
そこには心配以外の何にも含みはない。
その言い方だと僕の怪我は本以下ですよね。
そんなことはないと解っていても、心の中で嘆息する。
ここまで煽っておいて、こんな仕打ちはない。
くるりと踵を返し、絆創膏と消毒液とってくるわ、と部屋を出ていく後ろ姿を見送り、自分でも改めて傷口を眺める。
強く吸われたため、溜まった血は抜けており、また浮いてくるまでには少し時間がかかるだろう。
今は傷口の痛みより、動悸や諸々の方が痛い、と苦々しい気分になる。
どうにかこの、意識とは別に昂った体を納めなくては。
全く持って、男性の体というものは面倒くさい。
水原さんには言えないけれど。
無自覚は、罪だな。
急ぎ、救急箱を手に戻ってくる姿が目に映る。
手荒く手当をされるんだろうな、と少し心配しつつ、目を細めて到着を待った。
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