ジューンブライド③
新刊と本誌の感想的なssやら漫画やら描きたいですが6月の話なんで終わらせたい終わる気がししないけどorz
なお、多分コレ終わったら夏コミの原稿やらないとやばい時期です。・゜・(ノД`)・゜・。
籍を入れたからといって、私と燈馬君の生活は変わることはなかった。
燈馬君は変わらず寝る場所もないあの本に囲まれた部屋で仕事をこなしていたし、私は私で毎日一人暮らしをしているアパートと会社の往復を続けていた。
もちろん、何日かに一度はいつも通りに燈馬君ちに足を向けていたし、週末は一緒に過ごしていた。
頼まれれば付き添いをしたし、私が勝手について行ったりもした。
本当に、名前が変わり名前がついただけで他は全く変わらないまま。不満なんて全くない。私が望んだままの関係だった。
ただ、たまにだけど燈馬君が寂しそうに笑うときがある。それは私の帰り際だったり、食事の最中だったり、本当、ふとした時に、たまに。
その瞬間を目の当たりにすると、私の胸もずきんずきんと刺すように痛むのだ。回数を重ねるごとに、痛みはより鋭く、深く。
良心の呵責、ってヤツだろうか。
燈馬君の周りもだけれど、私も両親や友達には一応籍を入れたと報告はしている。
こうやって普段とは変わらないものの食事やら何やらで談笑している風景は一般的な家庭そのものに見えなくはない。
だけど、実のところは全く違う。ただの友達同士の付き合いのままだ。
要するに、周りを騙してるようなモンなのだ。
燈馬君もそれを気にしている風に見えるから、私もその度に無意識に思い出して、胸が痛むのかな。
それくらいしか、私には思い当たることがなかった。
一年も過ぎた頃。うちの両親は流石におかしいと気づいたのか、なんでまだ一人暮らしをしているんだ、とつっこまれた。
いや、つっこまれたと言うより、怒られたというのが正しいのかもしれない。
いずれは同居するけど私の都合を尊重してくれてるから、という建前は、流石にもう持たないだろう。
いくら燈馬君の好意とは言っても、あなたはもう嫁いだんだからいい加減甘えるのはやめなさい、あとは年齢考えなさい、このままの生活じゃいけないって解るでしょ、と母さんにクギを刺され、苦笑する。
側から見て、異常だろうな、と思う。
変わり者の燈馬君と私のやること、というのを差し引いたって。
同居とか、全然考えない訳ではなかった。それこそこういう事態に陥ることぐらい予想出来てたし、対応策も燈馬君は考えてくれていた。
水原さんが大丈夫であれば、という前置きで提案されたけれど、私は、出来る限りは今のままを通していたかった。
きっとどこかを変えてしまったら、全部が崩れてしまう。何度も言い聞かせてる。これはごっこ遊びなんだと。
私は変わらないし、燈馬君も変わらない。
どちらかが止めたいと思ったら簡単に止められる。
そんな関係。
多分、同居したからといって関係は変わらないと思う。元々家事を手伝うのに通ってたし、寧ろ帰宅時間がない分ゆっくりできて楽になるだろう。
家の中だから夫婦のフリを続ける必要もないし、燈馬君は仕切ったプライベートスペースを侵すことはしないだろう。
だいたい、私のことをそういう対象として見てるとは思えない。意識してたらどっかで破綻してるだろうこの付き合い。
……そこまで解ってはいるんだけど。
一応報告としては燈馬君には伝えたけれど、いつものごとく、燈馬君は水原さんの思うようにと返してくる。
「嫌だ」って拒絶されんのもやだけどさ、毎回毎回私に責任押し付けんのは、正直やめて欲しなぁ、なんて思う。
燈馬君はいとも容易く選択権を手放すのだ。惜しいなんて素振りはつゆほども見せない。
過度な尊重をされ続けてると逆に私のことなんかどうでもいいと思われてるような気になってくる。私に対して何かしら思うところがあるのなら、譲れない一線があるはずなのだから。
まぁ、そういう訳ではなくて。ただ単に私を立ててくれてるだけなんだ、というのは理解してる。
燈馬君は今の関係に特に文句はなくて、私の希望する通りにしてしまっても問題はないから、それなら言い出しっぺの気が済むように、そういう事なんだと思う。
だからこれは私のただの被害妄想であって事実では無い。
だけど、やっぱり、そういう気にはなっちゃうんだよねぇ……
一度、きちんと計画の練り直しをするべきか、なんて悩んでる最中に、香坂から久しぶりに会わないか、とメールが入ったのに気がついた。
入籍の連絡をしたときには喜んでくれたものの結婚式あげないのー! と不満を漏らされ、その後も度々夫婦生活はどーよ? なんて聞かれたりしていた。
例に漏れず適当に相槌打ったりしてたけど、いい機会なのかもしれない。香坂には嘘をつき続けたくもないし。何より、多分誰かに話してしまえばこんなに胸は痛まないだろうと、そんな気もするし。
週末にうちに遊びにおいで、と返信をして携帯を伏せる。訳ありで通い妻やってる、のその訳を話すなら、外で会うよりいいに決まってる。
私のワガママでバラす訳だから、燈馬君には言いづらいし、付き合わせるのも悪い気がした。
多分、こうやって一人で住む部屋に香坂を呼ぶのは最後だろう。
私の親友と気兼ねなくぶっちゃけて話せる最後の機会。
私は、会うまでの数日間を、なんとも言えない気分のまま過ごしていった。
なお、多分コレ終わったら夏コミの原稿やらないとやばい時期です。・゜・(ノД`)・゜・。
籍を入れたからといって、私と燈馬君の生活は変わることはなかった。
燈馬君は変わらず寝る場所もないあの本に囲まれた部屋で仕事をこなしていたし、私は私で毎日一人暮らしをしているアパートと会社の往復を続けていた。
もちろん、何日かに一度はいつも通りに燈馬君ちに足を向けていたし、週末は一緒に過ごしていた。
頼まれれば付き添いをしたし、私が勝手について行ったりもした。
本当に、名前が変わり名前がついただけで他は全く変わらないまま。不満なんて全くない。私が望んだままの関係だった。
ただ、たまにだけど燈馬君が寂しそうに笑うときがある。それは私の帰り際だったり、食事の最中だったり、本当、ふとした時に、たまに。
その瞬間を目の当たりにすると、私の胸もずきんずきんと刺すように痛むのだ。回数を重ねるごとに、痛みはより鋭く、深く。
良心の呵責、ってヤツだろうか。
燈馬君の周りもだけれど、私も両親や友達には一応籍を入れたと報告はしている。
こうやって普段とは変わらないものの食事やら何やらで談笑している風景は一般的な家庭そのものに見えなくはない。
だけど、実のところは全く違う。ただの友達同士の付き合いのままだ。
要するに、周りを騙してるようなモンなのだ。
燈馬君もそれを気にしている風に見えるから、私もその度に無意識に思い出して、胸が痛むのかな。
それくらいしか、私には思い当たることがなかった。
一年も過ぎた頃。うちの両親は流石におかしいと気づいたのか、なんでまだ一人暮らしをしているんだ、とつっこまれた。
いや、つっこまれたと言うより、怒られたというのが正しいのかもしれない。
いずれは同居するけど私の都合を尊重してくれてるから、という建前は、流石にもう持たないだろう。
いくら燈馬君の好意とは言っても、あなたはもう嫁いだんだからいい加減甘えるのはやめなさい、あとは年齢考えなさい、このままの生活じゃいけないって解るでしょ、と母さんにクギを刺され、苦笑する。
側から見て、異常だろうな、と思う。
変わり者の燈馬君と私のやること、というのを差し引いたって。
同居とか、全然考えない訳ではなかった。それこそこういう事態に陥ることぐらい予想出来てたし、対応策も燈馬君は考えてくれていた。
水原さんが大丈夫であれば、という前置きで提案されたけれど、私は、出来る限りは今のままを通していたかった。
きっとどこかを変えてしまったら、全部が崩れてしまう。何度も言い聞かせてる。これはごっこ遊びなんだと。
私は変わらないし、燈馬君も変わらない。
どちらかが止めたいと思ったら簡単に止められる。
そんな関係。
多分、同居したからといって関係は変わらないと思う。元々家事を手伝うのに通ってたし、寧ろ帰宅時間がない分ゆっくりできて楽になるだろう。
家の中だから夫婦のフリを続ける必要もないし、燈馬君は仕切ったプライベートスペースを侵すことはしないだろう。
だいたい、私のことをそういう対象として見てるとは思えない。意識してたらどっかで破綻してるだろうこの付き合い。
……そこまで解ってはいるんだけど。
一応報告としては燈馬君には伝えたけれど、いつものごとく、燈馬君は水原さんの思うようにと返してくる。
「嫌だ」って拒絶されんのもやだけどさ、毎回毎回私に責任押し付けんのは、正直やめて欲しなぁ、なんて思う。
燈馬君はいとも容易く選択権を手放すのだ。惜しいなんて素振りはつゆほども見せない。
過度な尊重をされ続けてると逆に私のことなんかどうでもいいと思われてるような気になってくる。私に対して何かしら思うところがあるのなら、譲れない一線があるはずなのだから。
まぁ、そういう訳ではなくて。ただ単に私を立ててくれてるだけなんだ、というのは理解してる。
燈馬君は今の関係に特に文句はなくて、私の希望する通りにしてしまっても問題はないから、それなら言い出しっぺの気が済むように、そういう事なんだと思う。
だからこれは私のただの被害妄想であって事実では無い。
だけど、やっぱり、そういう気にはなっちゃうんだよねぇ……
一度、きちんと計画の練り直しをするべきか、なんて悩んでる最中に、香坂から久しぶりに会わないか、とメールが入ったのに気がついた。
入籍の連絡をしたときには喜んでくれたものの結婚式あげないのー! と不満を漏らされ、その後も度々夫婦生活はどーよ? なんて聞かれたりしていた。
例に漏れず適当に相槌打ったりしてたけど、いい機会なのかもしれない。香坂には嘘をつき続けたくもないし。何より、多分誰かに話してしまえばこんなに胸は痛まないだろうと、そんな気もするし。
週末にうちに遊びにおいで、と返信をして携帯を伏せる。訳ありで通い妻やってる、のその訳を話すなら、外で会うよりいいに決まってる。
私のワガママでバラす訳だから、燈馬君には言いづらいし、付き合わせるのも悪い気がした。
多分、こうやって一人で住む部屋に香坂を呼ぶのは最後だろう。
私の親友と気兼ねなくぶっちゃけて話せる最後の機会。
私は、会うまでの数日間を、なんとも言えない気分のまま過ごしていった。
PR
この記事にコメントする
最新記事
あけましておめでとうございます(01/01)
燈馬くん誕生日。(09/17)
はぴばわたしとついろぐ(04/09)
零れ落ちる夕映えの、⑤(04/04)
4月3日は可奈ちゃんの誕生日ー!!(04/03)