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サガ。

さが、というと、どうしてもはなわの佐賀県を思い出してしまいます。
 古っ


 前回拍手の片割れ、燈馬君視点です。
 最初に書いたときは燈馬君の方が先で、可奈ちゃんは後に書きました。
 書き直しは、逆で。

 手直しってぇレベルじゃなく、両方とも書き加えてます……
 だって、合間合間が説明不足なんだもの。
 言葉たらずすぎて唐突すぎ……
 いや、でも、これでも唐突感があるかしら……うむむ。

 



 ベランダの物干しに、紺色の物体がはたはたとひるがえる。
 その様子がちらちらと目に入り、そのたびにはぁ、と重いため息が出る。
 気にしないようにしようとしても、どうやっても目が引き寄せられてしまう。
 生物として、動くものに気を取られるのか。
 生物として、異性の衣類に気を取られるのか。
 二つの意味で気が重い。


 「あれ、もうちょっとどうにかなりませんか?」
 サッシの方を指差すと、寝転がって雑誌を読む持ち主は、んー?と気のない返事を返す。
 「いいじゃん、誰が見るわけでなし」
 女性の衣類が、男性の部屋のベランダに干してある。
 その意味合いを理解しているのかどうか。
 ……まぁ、理解してたら人の家で水着洗ったりしないですけど。
 「こんなに高い階なんだから外から見られないって」
 大丈夫大丈夫、と水原さんは手を振り、言う。
 いや、いくら、外から見えないとはいっても、ねぇ。
 こめかみの辺りがキリキリ痛む。

 確かに、プールから上がって持って帰る前にちょっと干させて! と頼まれた時に承諾はしたけれど。……常識的に考えて、タオルとかで隠しながら干したりとか普通はすると思いませんか?
 ツッコミを入れ続けても、態度に表してもどこ吹く風。
 当の本人はこちらの様子を気にも留めずに雑誌に夢中だ。


 「僕からは丸見えなんですけど。干しなおしてください」
 ただ言うだけでは生返事ばかりなので、見ていた雑誌を取り上げる。
 捕捉先を無くした双眸が、一瞬見開き、こちらをぶすっと睨む。
 「何よ、いつも中身入りで見慣れてるくせに……」
 中身入りって、なんてこと言うんだこの人は。
 紡いだ言葉に何の問題も抱いていないようで、こちらを睨んだまま、頬を膨らませる。

 中身って、
 中身ってどういう意味で使ってるか、解ってますよね?
 そう問いたい気持ちをぐっと堪える。
 ……心なしか、頭痛の度合いが増した気がする。
 
 「中身のあるなしに関わらずTPOってものがあるでしょう?」
 仕方がないので、水原さんが隠喩として使った表現を、そのまま借りる。
 気にしている訳ではない、と思いたい。
 思考が定まらない原因を取り除きたいだけなのだ。
 助長してどうする、と自分を律するのを忘れずに。
 「燈馬くんちならいいじゃん~」
 水原さんは意地でも起き上がるもんか、とでも言うように、寝転がりながらぶーぶー文句を言っている。

 転がる度、袖から覗く細い腕とか、裾から見える白い肌とか。
 目に入るものすべてを、なんとか思考の奥底へ沈める。
 ここで怯んでしまっては頭痛が収まらないし、いろいろと危険だ、お互いに。

 「水原さん、……もしかして“TPO”って通じませんでしたか?」
 なるべく平坦に、声を出す。
 「そんくらい知ってるよ。時と場所、場合にあわせて……ってヤツでしょ」
 「そう、Time、Place、Occasionの頭文字から作られた、和製英語です」
 唇を尖らせて言う仕草に内心可愛いなぁとかどきどきしつつ、しかし表情には出さないように、極力平静を装う。
 「今、問題になってるのは場所と場合です。……解ってますよね?」
 ね、の発声の時にちらり、と水原さんを見る。
 「わかんない」
 わかりたくもない、面倒くさい。
 水原さんは、分かりやすく顔で答える。
 視線の先はどこでもない、遠くだ。
 話をしているのは僕なのに。
 聞く気なんかないよ、という態度に、若干ムッとしながら。
 水原さんの顔を覗きこみながら言葉を続ける。
 「場所はどこですか?」
 「……燈馬君ち」
 ばつが悪そうに、おずおずと、水原さんは答える。
 流石に覗き込まれるくらいされると、視線を逸らすのも難しいらしい。
 「僕の家に女物の衣類が干してあったら、どう思いますか」
 「女装趣味でも出来たか?と思う」
 きしし、と笑いながら突拍子もないことを口にされ。
 真面目に考えてください、と頭を抱える。
 これでも真面目なんだけど?とまだ笑っている目で言われても説得力がない……これは、僕を信用してる、と受け取るべきところなんだろうか。
 水原さん以外の女性が、来るとは思っていないということだから、そういう考えになるわけで。
 若干、ではあるけれど。
 素直に嬉しい。
 「一般論として独身男性の部屋に女物の洗濯物がかかってると考えてください」
 要するに、前提とする条件が僕だからそういう思考になるのだから、一般的に考えて、と前提条件を変えてみる。
 すると、水原さんも、しばし、思考の海に落ちる。
 「……彼女が家に来てる、とか?」
 イヤイヤ、違うか?と、首を降りながら。
 うーん、うーんと考えに考え抜き。
 あ、と突然一声上げる。

 「わかった」
 「解っていただけてうれしいです」
 解ってもらえた嬉しさに、知らず、口角が上がる。
 それでは、直してもらえますよね、とベランダを指差すと。
 しかしそれでも、水原さんは。
 「だけど、それは衣類全般。今干してあるのは水着でしょ?」
 取り上げられた雑誌を奪い返し、先ほどまでと同じように、寝転びながら続きを読もうと寛ぎ始める。


 「……判りました、じゃあ、中身を見せてくれたらこのままでもいいですよ。それで“場合”は解決です」
 我ながら、唐突に何を言い出すのかと思う。
 水原さんも、驚いた顔で固まっている。
「中身入りなら見慣れているって、水原さん言ってたじゃないですか。中身“込み”なら、そうですよ。……中身を見せて貰えれば、水原さんの言い分も、僕の言い分も活かせます」
 口に出してしまった意図を、どうにか自分でも理解しようと、纏めようと言葉にしてみる。
 けれど、なんだかどんどん墓穴を掘っているような。
 いやいや、そもそも。
 僕は一体何を考えてそんなことを言いだしたのか。

 「悪かったごめんすぐ干しなおします許してください」
 言ってる様子で本気だとでも思ったのか。
 ばたばたと慌てて起き上がり、水原さんはベランダへと駆け込む。
 その姿を見て安堵する自分と、がっかりする自分を自覚する。

 ……がっかり?

 何に対してがっかりしているのか……
 いや、思い返さなくていい。
 冷めた頭の奥の方でそう判断する。



 干し直しが終わり、カラカラとサッシを引く赤い顔の水原さんに冗談です、と笑顔で手を振る。
 ……冗談、ということにしておかないと。
 ぎゅうぎゅうに押さえつけて、
 たった今仕舞いこんだ、
 自分でも全てを理解しているわけではない、性というものが飛び出してしまいそうで。



 その、作り笑いに気がついたのか、気がつかないのか。
 水原さんから強力な右フックが飛んできた。
 避けられなかったので、そのまま受ける。



 まぁ、仕方がないかな、と霞みゆく意識で思う。
 ……いろいろな意味で。
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