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さが。

つづきが終わらない~(泣)
 ので、更新が全然されてませんorz

 あんまりにもあんまりなので、前回までの拍手の片割れをちょっと手直しして。
 もう一方も手直しするかな。
 
 因みに「さが」って、「性」って一文字で書くとなんか違うものに見えたのでひらがな表記にしました。特にもう一方の燈馬君視点だと。
 でもひらがなだとまた別のものな感じになるし、カタカナだともっと違う意味が増えるし。
 日本語っておもしろいけど難しい……




 進行状況とか脱線状況とかは横のツイッターを見たり日記ブログの方を見ていただければ解りますので、更新なさすぎてあんまり脱線しすぎててもうちょっと頑張れよコラとか思っても生暖かく見守っていただけると助かるといいますかなんと言いますか(滝汗)





 ベランダの物干しに、紺色の物体がはたはたとひるがえる。
 高層階だからか、風がとてもよく通る。
 この分だと、帰る頃にはすっかり乾いているかも。
 それはとっても好都合、と気が良くなる。

 燈馬君ちのプールで泳いだ後、休憩がてらベランダを借りて水着を干させてもらった。
 こう、連日暑くては水浴びでもしなければ生きてはいけない。
 帰ってから水着を洗って干しても乾くんだけど、やっぱりお日様で乾かすほうがいいじゃん?
 折角まだかんかんと日差しが照りつけているのだから、それを利用しない手は無い。


 「あれ、もうちょっとどうにかなりませんか?」
 いい気分で雑誌を読んでいると、横槍が入る。
 ちらりと横を一瞥すると、苦々しい燈馬君の、顔。
 あれって……干してある水着の事しかないか。
 何か、問題があるんだろうか?

 直に干したほうがどう考えたって乾きが早い。
 効率性を考えたらそのまま吊るすのがベストだ。
 人目を気にせず干せるのは高層階ならではなので、羨ましい。
 「いいじゃん、誰が見るわけでなし」
 口から本音が漏れる。
 こんなに高い階なんだからどう考えたって外から見られないって、と繋げたら、ああもうこの人は、と言いたげな、半月形の目が二つ。
 「僕からは丸見えなんですけど。干しなおしてください」

 ……まぁ、燈馬君に見えるのはこの際、仕方がないと思うんだよね。
 でも、いつも一緒にプールに行ってるんだから見慣れたもんだろう。
 見苦しいとか思ってんのかもしれないけど、そこは見ないようにしてもらって太陽の恩恵を受けたいなぁ。

 と、心で呟きながらごろごろしていたら、読んでいた雑誌を取り上げられた。
 なんか、呆れ顔で見下ろされている。
 さっきまでずっとパソコン睨んでたんだから、別にベランダの外なんて見ていないと思うんだけど。
 どうしてそんなに干させたくないんだろう。

 「何よ、いつも中身入りで見慣れてるくせに……」
 苦し紛れに言ってみる。
 燈馬君は目を白黒させている。
 ん?……何か変なコト言ったか?私?
 「中身のあるなしに関わらずTPOってものがあるでしょう?」
 でも、流石は燈馬君。
 すぐに持ち直して、いつものごとくお説教が始まる。
 だがしかし。それが効かないことに関しては、私も自信がある。
 「燈馬くんちならいいじゃん~」
 耳を塞ぎながらごろごろ駄々をこねてみる。
 大概はこうなると燈馬君も諦める。
 理論で解けない相手をどうこうするのは骨が折れるのだそうだ。

 これでもうちょっとの間干しておけるかな、と淡く期待を抱く。
 お日様で干すとカラっとしてて次の日も着たときに気持ちがいい。
 そんな快楽を手放すなんて惜しいもん。
 
 「水原さん、……もしかして“TPO”って通じませんでしたか?」
 「そんくらい知ってるよ。時と場所、場合にあわせて……ってヤツでしょ」
 「そう、“Time”、“Place”、“Occasion”の頭文字から作られた、和製英語です」
 和製英語だったのか、とその部分だけは素直に驚く。
 「今、問題になってるのは場所と場合です。……解ってますよね?」
 「わかんない」
 わかりたくもない、面倒くさい。
 そんな顔を察したのか、燈馬君はこっちを覗きこみながら言葉を続ける。
 「場所はどこですか?」
 「……燈馬君ち」
 目が合うととぼけづらい。
 諦めて、燈馬君の話に受け答える。
 「僕の家に女物の衣類が干してあったら、どう思いますか」
 「女装趣味でも出来たか?と思う」
 笑いながら言うと、真面目に考えてください!とさらに燈馬君に睨まれた。
 これでも真面目なんだけど、と呟くと、また、首を振りながら重々しいため息をつかれる。
 「一般論として独身男性の部屋に女物の洗濯物がかかってると考えてください」
 ため息混じりに言われると、なんとなく真面目に考えるべきかな、という気になり。
 ちょっと頑張って可能性を思い浮かべてみる。

 「……彼女が家に来てる、とか?」
 いや、特に服を汚したりとかしない限りは洗濯物が干されることはないか。
 じゃあ、洗濯をするっていうのはどういうことだ?とさらに頭を廻らせる。
 洗濯物が出る、ってことは泊まりだよね。
 泊まりってことは。
 そういう関係ってわけで。


 「わかった」
 「解っていただけてうれしいです」
 燈馬君が、にっこりとベランダを指差す。
 「だけど、それは衣類全般。今干してあるのは水着でしょ?」
 我ながら屁理屈だなぁとは思いながら。
 燈馬くんから取り上げられた雑誌をひったくり返し、続きを読もうと広げると。
 なんか、すごい言葉が耳に入ってきた。

 「……判りました、じゃあ、中身を見せてくれたらこのままでもいいですよ。それで“場合”は解決です」

 中身を見せろ、だと……?

 中身って……あれだよね、さっき私が水着中身入りで見てんじゃないとか言った流れだから……
 はだ

 燈馬君を改めて見上げる。
 じっとこちらを見つめている。
 目が……笑ってないんですけど。

 「中身入りなら見慣れているって、水原さん言ってたじゃないですか。中身“込み”なら、そうですよ。……中身を見せて貰えれば、水原さんの言い分も、僕の言い分も活かせます」
 「悪かったごめんすぐ干しなおします許してください」

 跳ね起きて、急いでベランダに逃げる。
 やばいやばい、あれは本気の目だ。
 さすがに調子に乗りすぎた。
 ゴメンナサイ。
 心の中で謝りながら、急いでサッシの向こう側へ。

 燈馬君は自分には甘い。
 そう思っていつも乗っかりすぎていることにしばし反省する。
 

 干し直しが終わり、カラカラとサッシを引いて室内に入ると冗談です、と燈馬君は笑顔で手を振った。


 何故か、ムカついた。
 ので、思わず手が出てしまった。
 これについては反省はしていない。
 いいよね?
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