明滅 赤/青
昨日の落書きどもの中に紛れこませてたものを、起こしてみました……
傾きも境界もコレも、ものの見事に駆け引き系の話で続いてます。
実は前の2個も書いてるときに脳裏に線引きと分度器をお互いに持ってじりじり距離を測りながら向かい合ってる一触即発の状態の二人がちらついてて離れなかったり。
なんてシュールな絵面なんだろう…………
前2個と違って、もうある程度進んだ状態でちょっと下寄りな話なんでどうかな、どうかな、と思いつつ。
でもしてないし直接表現もないから大丈夫よね!とか自己弁護してみたり。たり。
いつもどおりの生々しいのにぬるい感じの話です。ハイ。
タイトルに(燈可奈)を入れるの止めました。
……どうせ燈可奈しか書いてないし(爆)
「……あー、ダメだ。どうしよう……」
可奈は膝に顔を埋めたまま、大きなため息一つ。
身を焼く欲求は止めどなく。
こっそり呟けば、少しは気が紛れるかと思ったけれどそうでもなく。
まぁ、思春期ですし。
生理的な欲求だよね。
頭の片隅で理解はしていても。
正直、認めたくはない。
「どうしたんですか?水原さん」
聞かせるつもりもない呟きを、どうやら拾われたようだ。
仕事に没頭してるから聞こえないと思ったのに。
よりにもよって。
なんでもない、と言っても多分納得しないよな。
大きなため息を先程ついたばかりだ。
かと言って、他の適当な理由も思いつかず。
正直に答えりゃいいのに。
ここんとこ欲求不満気味でさ、燈馬君と、……したいって。
いやいや、そんなの恥ずかしすぎるだろ!
そもそも、あんまり燈馬君そういうの好きそうじゃないよね。
あわよくばずっとでもひっついてたいっていうのは私ばっかりで。
燈馬君、声かけなきゃ手も繋がないし。
……キスとか、だって。
いや、まぁ、繋ぐときだって、するときだってすごい嬉しそうにしてるから嫌じゃないんだろうけど!
でも、どうなんだろう。
燈馬君、そういう、こと。
したいって気持ちはあるのかな?
私だけだったりしたら、どうしよう……。
そんなことはないと思うけど……。
でも、あんまりがっついてると、いっつもそういうことばっかり考えてんのかとか思われそうだし引かれたり軽蔑されたりするのも嫌だし。
ぐるぐるぐるぐる。
ごちゃごちゃごちゃごちゃ。
あっちに行ったりこっちに行ったり思考の迷路。
時折顔を真っ赤にして。
頭を抱えて思考する。
……一体何を考えているのやら。
想はちょっと離れた場所から見る。
可奈の表情はここからでは窺い知れないけれど。
先程、ちらとこちらに投げた視線からは。
多少、熱さを感じたような。
普段の行動や、今現在の仕草から鑑みるにこれは。
いつの間にか隣に座った想の、肩がこつんと当たる。
思考にかまけ過ぎていて、あられもなく捲れ上がったスカートの裾。
当たった拍子に、自覚する。
慌てて座り直し、正す。
裾なんか直さないでさ。
そのまま、自分の身体使ってさ。
したいって言えば喜んでしてくれるんじゃないの?
女の武器っていうじゃん?
いやいや。
そういう問題じゃないだろ。
そういうので迫るのってなんか狡いしそもそも私にゃそんな色気ないだろ。
どうだか。
どうかな。
相変わらずに、ぐるぐると。
回る頭にぐらぐらとする。
羞恥の紅潮なんだろうか。
いやでも知恵熱のような気も。
自分で自分が判らない。
ただ、判るのは三点。
赤い、熱い、喉が渇く。
気長に、気長に、隣で待つ。
冷静な顔の、想の。
視線が合うと、にこっと笑う、その目を見ると。
溜まった熱が、ざわざわ騒ぐ。
ああ、もう。
どうしたらいいんだろう。
言えば、なんとかなるんだろうか。
言うのはすんごくハードル高い。
こっ恥ずかしいし、勇気もいるし。
だって、要するに自分から……して欲しいって言ってるようなもんだし。
自問自答を繰り返し繰り返し。
「……………………いの」
ようやくの折り合いをつけて、ついた言葉は掠れて消える。
けれど、なんとか伝わったようで。
微かに笑った気配を感じる。
「何を?」
普段と同じようなトーンで、聞き返すその声。
絶対、解ってるくせに。
顔を見れば笑ってるんだろうけれど。
恥ずかしくって反対を見る。
ともすれば。
そのまま視線を合わせて、またさっきの台詞を呟けば。
きっと、想ははい、と微笑み。
返事を返して。
そのままなし崩しに。
それでいいはず。
なんだけど。
やっぱりどうしたって、恥ずかしい。
恥ずかしい。
恥ずかしい。
恥ずかしくって、仕方がない。
どうしたらいいのか、もう自分の思考が行方不明だ。
「……燈馬君は、どうしようもなく、したくなる時ってないの?」
自分だけがこんなになっている事に不意に理不尽さを覚え。
辛うじて思考の片隅に引っかかった言葉を紡ぐ。
恥ずかしさから逃れたくって苦し紛れの。
無邪気なんだか無垢なんだか特有の、ひどく尖った、鋭い、的確なそれは。
確実に想の胸を抉る。
流石の想も一瞬言葉に詰まり。
「なんでそんなこと水原さんに言う必要があるんですか!」
そんなの星の数ほどあるに決まってるじゃないですか、とは言えず。
無防備がすぎるくらいの隣の少女は、そういう目で見られるということに無自覚で。
関係が進む前まではそれはそれで自己嫌悪に陥ったり。
進んだら進んだで、情報がなまじっか入ったせいでリアリティが増し。
最終的には、もう、自分でもどうしたらいいのか解らないくらいにまで発展している。
正直、自分がそういう思考の持ち主になるとは露程も思っておらず。
戸惑い半分、諦め半分。
人の体は、頭は、そういう風に出来ているのだと。
こういった所は可奈に見せたら十中八九引かれるか、怯えられる。
信頼も一瞬で消し飛ぶだろう。
やっと触れられる距離に来れたというのに、それは。
徐々に徐々に詰めていった距離も失いかねない、暴力的なこの衝動を。
なんとかなんとか胸中に収める。
そんな容易ではない毎日を過ごしているというのに。
あまりにも軽く飛び越えるその発言は。
「えー、だって男って定期的にしないと問題があるとか聞いたけど」
どうやら、出処があるらしく。
ダメ元で、発信源を訊ねてみる。
「……誰から聞いたんですか?」
可奈は無言で宙を見る。
ロキだ。
こういう下世話な話はロキしかない。
後日、どうだ?ヤってるか? とどうせ電話がかかってくる事だろう。
楽しげに。
鼻歌でも口ずさみながら。
ああ、なんだか。
親友に踊らされてる気がして。
腹立たしい。
折角。
折角。
目の前に据え膳が。
いい気分だったのに。
ああ、でも。
それでも。
目の前の信号は、まだ青だ。
点滅している。
ちかちかと。
止まるか。
渡るか。
どちらがいいか。
「で。」
「で?」
つられて、可奈も言葉を繋ぐ。
「どうします?」
可奈が、したいといった行為を。
こちらは大歓迎だけれども、と言いたげに肩を抱いてはみるけれど。
さてさて恥ずかしさから逃げたい可奈は。
「…………もういい」
もそもそと、端に置いたクッションを抱く。
拗ねたような仕草で。
まだまだ赤い、頬を隠して。
潤んだ瞳だけで、想を睨む。
「いいんですか?」
牙を隠してポーカーフェイスで。
急いては事を仕損じる。
「なんか、私ばっかり。恥ずかしいし!バカみたいだし!恥ずかしいし!」
一言ごとに、頬に赤さが増していく。
クッション越しでも丸分かりだ。
耳まで赤い。
湯気が出そうに。
「もう、……もぅ……こんな体にしたの燈馬君なんだから責任とれよな」
恨みがましい。
それでも、まだ、熱が残っている視線に当てられて。
なんという、殺し文句。
「…………そのセリフは狡いです」
辛うじて、そう言ったものの。
さて、どうしてくれようか。
腕の中、迷子の羊一匹。
信号表示は、赤か。青か。
傾きも境界もコレも、ものの見事に駆け引き系の話で続いてます。
実は前の2個も書いてるときに脳裏に線引きと分度器をお互いに持ってじりじり距離を測りながら向かい合ってる一触即発の状態の二人がちらついてて離れなかったり。
なんてシュールな絵面なんだろう…………
前2個と違って、もうある程度進んだ状態でちょっと下寄りな話なんでどうかな、どうかな、と思いつつ。
でもしてないし直接表現もないから大丈夫よね!とか自己弁護してみたり。たり。
いつもどおりの生々しいのにぬるい感じの話です。ハイ。
タイトルに(燈可奈)を入れるの止めました。
……どうせ燈可奈しか書いてないし(爆)
「……あー、ダメだ。どうしよう……」
可奈は膝に顔を埋めたまま、大きなため息一つ。
身を焼く欲求は止めどなく。
こっそり呟けば、少しは気が紛れるかと思ったけれどそうでもなく。
まぁ、思春期ですし。
生理的な欲求だよね。
頭の片隅で理解はしていても。
正直、認めたくはない。
「どうしたんですか?水原さん」
聞かせるつもりもない呟きを、どうやら拾われたようだ。
仕事に没頭してるから聞こえないと思ったのに。
よりにもよって。
なんでもない、と言っても多分納得しないよな。
大きなため息を先程ついたばかりだ。
かと言って、他の適当な理由も思いつかず。
正直に答えりゃいいのに。
ここんとこ欲求不満気味でさ、燈馬君と、……したいって。
いやいや、そんなの恥ずかしすぎるだろ!
そもそも、あんまり燈馬君そういうの好きそうじゃないよね。
あわよくばずっとでもひっついてたいっていうのは私ばっかりで。
燈馬君、声かけなきゃ手も繋がないし。
……キスとか、だって。
いや、まぁ、繋ぐときだって、するときだってすごい嬉しそうにしてるから嫌じゃないんだろうけど!
でも、どうなんだろう。
燈馬君、そういう、こと。
したいって気持ちはあるのかな?
私だけだったりしたら、どうしよう……。
そんなことはないと思うけど……。
でも、あんまりがっついてると、いっつもそういうことばっかり考えてんのかとか思われそうだし引かれたり軽蔑されたりするのも嫌だし。
ぐるぐるぐるぐる。
ごちゃごちゃごちゃごちゃ。
あっちに行ったりこっちに行ったり思考の迷路。
時折顔を真っ赤にして。
頭を抱えて思考する。
……一体何を考えているのやら。
想はちょっと離れた場所から見る。
可奈の表情はここからでは窺い知れないけれど。
先程、ちらとこちらに投げた視線からは。
多少、熱さを感じたような。
普段の行動や、今現在の仕草から鑑みるにこれは。
いつの間にか隣に座った想の、肩がこつんと当たる。
思考にかまけ過ぎていて、あられもなく捲れ上がったスカートの裾。
当たった拍子に、自覚する。
慌てて座り直し、正す。
裾なんか直さないでさ。
そのまま、自分の身体使ってさ。
したいって言えば喜んでしてくれるんじゃないの?
女の武器っていうじゃん?
いやいや。
そういう問題じゃないだろ。
そういうので迫るのってなんか狡いしそもそも私にゃそんな色気ないだろ。
どうだか。
どうかな。
相変わらずに、ぐるぐると。
回る頭にぐらぐらとする。
羞恥の紅潮なんだろうか。
いやでも知恵熱のような気も。
自分で自分が判らない。
ただ、判るのは三点。
赤い、熱い、喉が渇く。
気長に、気長に、隣で待つ。
冷静な顔の、想の。
視線が合うと、にこっと笑う、その目を見ると。
溜まった熱が、ざわざわ騒ぐ。
ああ、もう。
どうしたらいいんだろう。
言えば、なんとかなるんだろうか。
言うのはすんごくハードル高い。
こっ恥ずかしいし、勇気もいるし。
だって、要するに自分から……して欲しいって言ってるようなもんだし。
自問自答を繰り返し繰り返し。
「……………………いの」
ようやくの折り合いをつけて、ついた言葉は掠れて消える。
けれど、なんとか伝わったようで。
微かに笑った気配を感じる。
「何を?」
普段と同じようなトーンで、聞き返すその声。
絶対、解ってるくせに。
顔を見れば笑ってるんだろうけれど。
恥ずかしくって反対を見る。
ともすれば。
そのまま視線を合わせて、またさっきの台詞を呟けば。
きっと、想ははい、と微笑み。
返事を返して。
そのままなし崩しに。
それでいいはず。
なんだけど。
やっぱりどうしたって、恥ずかしい。
恥ずかしい。
恥ずかしい。
恥ずかしくって、仕方がない。
どうしたらいいのか、もう自分の思考が行方不明だ。
「……燈馬君は、どうしようもなく、したくなる時ってないの?」
自分だけがこんなになっている事に不意に理不尽さを覚え。
辛うじて思考の片隅に引っかかった言葉を紡ぐ。
恥ずかしさから逃れたくって苦し紛れの。
無邪気なんだか無垢なんだか特有の、ひどく尖った、鋭い、的確なそれは。
確実に想の胸を抉る。
流石の想も一瞬言葉に詰まり。
「なんでそんなこと水原さんに言う必要があるんですか!」
そんなの星の数ほどあるに決まってるじゃないですか、とは言えず。
無防備がすぎるくらいの隣の少女は、そういう目で見られるということに無自覚で。
関係が進む前まではそれはそれで自己嫌悪に陥ったり。
進んだら進んだで、情報がなまじっか入ったせいでリアリティが増し。
最終的には、もう、自分でもどうしたらいいのか解らないくらいにまで発展している。
正直、自分がそういう思考の持ち主になるとは露程も思っておらず。
戸惑い半分、諦め半分。
人の体は、頭は、そういう風に出来ているのだと。
こういった所は可奈に見せたら十中八九引かれるか、怯えられる。
信頼も一瞬で消し飛ぶだろう。
やっと触れられる距離に来れたというのに、それは。
徐々に徐々に詰めていった距離も失いかねない、暴力的なこの衝動を。
なんとかなんとか胸中に収める。
そんな容易ではない毎日を過ごしているというのに。
あまりにも軽く飛び越えるその発言は。
「えー、だって男って定期的にしないと問題があるとか聞いたけど」
どうやら、出処があるらしく。
ダメ元で、発信源を訊ねてみる。
「……誰から聞いたんですか?」
可奈は無言で宙を見る。
ロキだ。
こういう下世話な話はロキしかない。
後日、どうだ?ヤってるか? とどうせ電話がかかってくる事だろう。
楽しげに。
鼻歌でも口ずさみながら。
ああ、なんだか。
親友に踊らされてる気がして。
腹立たしい。
折角。
折角。
目の前に据え膳が。
いい気分だったのに。
ああ、でも。
それでも。
目の前の信号は、まだ青だ。
点滅している。
ちかちかと。
止まるか。
渡るか。
どちらがいいか。
「で。」
「で?」
つられて、可奈も言葉を繋ぐ。
「どうします?」
可奈が、したいといった行為を。
こちらは大歓迎だけれども、と言いたげに肩を抱いてはみるけれど。
さてさて恥ずかしさから逃げたい可奈は。
「…………もういい」
もそもそと、端に置いたクッションを抱く。
拗ねたような仕草で。
まだまだ赤い、頬を隠して。
潤んだ瞳だけで、想を睨む。
「いいんですか?」
牙を隠してポーカーフェイスで。
急いては事を仕損じる。
「なんか、私ばっかり。恥ずかしいし!バカみたいだし!恥ずかしいし!」
一言ごとに、頬に赤さが増していく。
クッション越しでも丸分かりだ。
耳まで赤い。
湯気が出そうに。
「もう、……もぅ……こんな体にしたの燈馬君なんだから責任とれよな」
恨みがましい。
それでも、まだ、熱が残っている視線に当てられて。
なんという、殺し文句。
「…………そのセリフは狡いです」
辛うじて、そう言ったものの。
さて、どうしてくれようか。
腕の中、迷子の羊一匹。
信号表示は、赤か。青か。
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