紺青の空
ツイッターのお題、
『寒そうにしている相手を抱き締める』『燈可奈』を描きor書きましょう。 #kawaiiCP http://shindanmaker.com/62729
より。
寒がってる可奈ちゃんに燈馬君が、というシチュもとっても良かったんですけど、
お題を見たときに、真っ青な空が広がってる寒そうな屋上に、制服の青い背中が見える、という風景が浮かんだのでどうしてもそっちで書いてみたくなりかきかきしました……。
ここのところお付き合い前提続きだったのであまりそういうところは出さずに単純にじゃれてる感をだしたいなぁ、と思ったんですが、できてるかしら、どきどき。
カウンター12000hitありがとうございました!
アンケートの結果、■□同票だったので、
11000hit分と12000hit分で対になるようなSSを書こうと思います!
が、頑張ります!
雲一つない抜ける空に、溶け込むように青色の背中が浮かんでいる。
この寒空の中でも相変わらずに、防寒具無しのまま。
一番高い屋上のさらに一段上のいつもの場所で、思案する丸まった背中。
梯子を昇り、背後に立っても少しも気づく様子がない。
余程深く考えているんだろう、手元のパソコンを睨んだまま、微動だにしない。
頭の中身は仕事か命題かは知る術もないし、知ったところで何ができるというわけでもない。
自分に、出来ることといえば。
両手で広げたコートがひとつ。
「うっわ、冷たっ!」
後ろから抱え込んだ背中のあまりの冷たさに、思わず大きな声を上げる。
教室に置かれたままだった彼のコートで覆いながらでも、冷たさは腕に伝わってくる。
どれだけ長い時間、外に居たのか。
いきなりコートを被せられて、流石の想も現実に引き戻される。
寒さを感じていない訳ではなかったが、わざわざ教室まで取りに戻るのも億劫だし、思考に耽ると感覚が鈍るのか別に上着を必要だと思わなかったので、そのままにしてしまった。
確かに暖かい。
今までは寒かったのか。
包まれた背中も、首元も、包んでくれている腕も、身体も。
失くしていた体温がゆっくりと、中から外から戻って来る。
勢いに任せて負ぶさるように上着を掛けてくれたせいで、可奈の重みが背中に掛かる。
上着の厚手の布越しでも解るくらいに、距離が近い。
上着を着せるという目的が果たされた腕は、身体は、多分すぐに離れるだろう。
少し名残り惜しく思いながらじっと待つけれど、待てども待てども、抱え込まれた腕は離れない。
弾む吐息が、頬を掠める。
「あんたよくこんなに寒いところで考え事できるよね」
凍った黒髪が北風にそよそよなびく様が肩越しに見える。
風が抜けるだけでこんなにも身が引き締まるのに、こいつの身体はどういう作りをしているんだか、といつもながらに心配になる。
……風邪ひいても、自覚しないんじゃねぇ?
「コート、ありがとうございます」
微かにすぐ隣の頬が緩んだ。
「暖かいです」
「そりゃ良かった」
なんだかくすぐったくて、可奈の頬も緩む。
そのまま次の言葉も紡ぐ気も起きず、ぼーっと真っ直ぐ前を眺める。
真っ青な空の下、鮮やかに映る街並み、景色。
あぁ冬の空気だなぁと思いを馳せながら。
飽きずにぼんやり眺めていると、水原さん、と声がかかった。
「寒いですよね。戻りますか?」
可奈はそのまま首を振った。
「寒くないからそのまま続けてていいよ」
想に体重を預けたまま、負ぶさるままで、また宙を見る。
陽の光できらきらと、世界が瞬いて見える。
冴える青と、陽の色のコントラストが目に刺さる。
ただ単純に綺麗だと思う。
重なった背中と身体がじんわり暖かい。
温くて温くて心地いい。
凍えるように綺麗な景色と相まって、背中から得る暖かさが愛おしくて、離し難い。
いつまでもこのままで眺めていられるくらいだ。
「アンカ代わりだな」
「はい?」
「燈馬君の背中冷えてんなぁ、って思ったけど、今すんごく暖かい」
「水原さんが暖めてくれたからじゃないですか?」
じんわり暖かいのは想も同じだ。
目を細めながら、手放し難い暖かさを享受する。
ふと手元から視線をあげると、寒さでほんのり赤くなった可奈の指先が目に入る。
両手を添えて息を吹きかけると、くすぐったそうに笑い声が上がった。
「お礼に手を温めましょうか?」
「息を吹きかけるのはナシね」
くすぐったくて笑い死ぬ、と可奈はまだ弾む声で返事をする。
なんだ残念、と呟きながら。
想は凍える指先をそっと覆い、そのまま両手で包んだ。
伝わる熱の、お礼を込めて。
抱える気持ちの、熱を込めて。
『寒そうにしている相手を抱き締める』『燈可奈』を描きor書きましょう。 #kawaiiCP http://shindanmaker.com/62729
より。
寒がってる可奈ちゃんに燈馬君が、というシチュもとっても良かったんですけど、
お題を見たときに、真っ青な空が広がってる寒そうな屋上に、制服の青い背中が見える、という風景が浮かんだのでどうしてもそっちで書いてみたくなりかきかきしました……。
ここのところお付き合い前提続きだったのであまりそういうところは出さずに単純にじゃれてる感をだしたいなぁ、と思ったんですが、できてるかしら、どきどき。
カウンター12000hitありがとうございました!
アンケートの結果、■□同票だったので、
11000hit分と12000hit分で対になるようなSSを書こうと思います!
が、頑張ります!
雲一つない抜ける空に、溶け込むように青色の背中が浮かんでいる。
この寒空の中でも相変わらずに、防寒具無しのまま。
一番高い屋上のさらに一段上のいつもの場所で、思案する丸まった背中。
梯子を昇り、背後に立っても少しも気づく様子がない。
余程深く考えているんだろう、手元のパソコンを睨んだまま、微動だにしない。
頭の中身は仕事か命題かは知る術もないし、知ったところで何ができるというわけでもない。
自分に、出来ることといえば。
両手で広げたコートがひとつ。
「うっわ、冷たっ!」
後ろから抱え込んだ背中のあまりの冷たさに、思わず大きな声を上げる。
教室に置かれたままだった彼のコートで覆いながらでも、冷たさは腕に伝わってくる。
どれだけ長い時間、外に居たのか。
いきなりコートを被せられて、流石の想も現実に引き戻される。
寒さを感じていない訳ではなかったが、わざわざ教室まで取りに戻るのも億劫だし、思考に耽ると感覚が鈍るのか別に上着を必要だと思わなかったので、そのままにしてしまった。
確かに暖かい。
今までは寒かったのか。
包まれた背中も、首元も、包んでくれている腕も、身体も。
失くしていた体温がゆっくりと、中から外から戻って来る。
勢いに任せて負ぶさるように上着を掛けてくれたせいで、可奈の重みが背中に掛かる。
上着の厚手の布越しでも解るくらいに、距離が近い。
上着を着せるという目的が果たされた腕は、身体は、多分すぐに離れるだろう。
少し名残り惜しく思いながらじっと待つけれど、待てども待てども、抱え込まれた腕は離れない。
弾む吐息が、頬を掠める。
「あんたよくこんなに寒いところで考え事できるよね」
凍った黒髪が北風にそよそよなびく様が肩越しに見える。
風が抜けるだけでこんなにも身が引き締まるのに、こいつの身体はどういう作りをしているんだか、といつもながらに心配になる。
……風邪ひいても、自覚しないんじゃねぇ?
「コート、ありがとうございます」
微かにすぐ隣の頬が緩んだ。
「暖かいです」
「そりゃ良かった」
なんだかくすぐったくて、可奈の頬も緩む。
そのまま次の言葉も紡ぐ気も起きず、ぼーっと真っ直ぐ前を眺める。
真っ青な空の下、鮮やかに映る街並み、景色。
あぁ冬の空気だなぁと思いを馳せながら。
飽きずにぼんやり眺めていると、水原さん、と声がかかった。
「寒いですよね。戻りますか?」
可奈はそのまま首を振った。
「寒くないからそのまま続けてていいよ」
想に体重を預けたまま、負ぶさるままで、また宙を見る。
陽の光できらきらと、世界が瞬いて見える。
冴える青と、陽の色のコントラストが目に刺さる。
ただ単純に綺麗だと思う。
重なった背中と身体がじんわり暖かい。
温くて温くて心地いい。
凍えるように綺麗な景色と相まって、背中から得る暖かさが愛おしくて、離し難い。
いつまでもこのままで眺めていられるくらいだ。
「アンカ代わりだな」
「はい?」
「燈馬君の背中冷えてんなぁ、って思ったけど、今すんごく暖かい」
「水原さんが暖めてくれたからじゃないですか?」
じんわり暖かいのは想も同じだ。
目を細めながら、手放し難い暖かさを享受する。
ふと手元から視線をあげると、寒さでほんのり赤くなった可奈の指先が目に入る。
両手を添えて息を吹きかけると、くすぐったそうに笑い声が上がった。
「お礼に手を温めましょうか?」
「息を吹きかけるのはナシね」
くすぐったくて笑い死ぬ、と可奈はまだ弾む声で返事をする。
なんだ残念、と呟きながら。
想は凍える指先をそっと覆い、そのまま両手で包んだ。
伝わる熱の、お礼を込めて。
抱える気持ちの、熱を込めて。
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