忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

拍手(現在3種ランダム)web拍手

境界0cm(燈可奈)

前回の続き。
 傾き10度がロジカルな感じの心理描写だったので、そのままロジカル返し。

 が、がんばって甘々にしてみたよ!!
 そこに溶けきれなくてじゃりじゃり残ってるよ!!!
 ただただ、甘いばっかりなのってそういえば書いたことなかった……!
 自分的に書いてて衝撃。


 書いてて恥ずかしい。
 超。
 遠雷ほどではないけれど。
 遠雷恥ずかしすぎてもう読めない(爆)
 でもたまに読み返してうわーうわーってやってる。
 エロ本道端で見つけた子供か。






 ……時間を置いてもう一回読んでみたらそうでもなかった。
 どういう基準で甘い!甘すぎる!と思ったのか謎。

 脳内ではさらにもう3段階くらい活用してたんだろうか???



 寮にいた時のことを思い出す。
 ルームメイトがパートナーを連れて部屋に入って来た時には、無言でどこか、時間の潰せるところを探して部屋を出る。
 それは、毎回毎回。
 何度も何度も。
 初めてその場に遭遇したときには、走るように逃げ出した。
 ハイスクール時代はともかくとして、いくらなんでもその頃には、それがどういう行為をするためかということは知っていたから。

 気にしないよ、という人もいる。
 気まずいけれど我慢する、という人もいる。
 自分もだからお互い様、という人もいる。
 想は、流石に我慢してその場に留まる、ということは出来なかった。
 性的なことに興味があれば、あるいは我慢も出来るかもしれないけれど。
 全くと言っていいほど、その頃は興味が湧かなかった。
 興味があるのは、数学の事のみ。
 むしろ、どうしてそういう行為を貪ることができるのか、と純粋に不思議に思っていた。


 ほんの少し前までは。
 その理由を、理解は出来るものの、共感は出来なかった。
 身体的にも精神的にも成長して、なんとなくでその欲求は理解していても。
 その衝動に駆られる、というところまではどうしても至らなかった。






 こっち見てくんないなら、襲っちゃうよ?

 耳元で囁かれた、甘い言葉。
 ……立派な殺し文句じゃないですか、それ。
 想は内心嘯く。

 どういう意図でその行為をしたのか、考える。
 相変わらず、食まれた耳はじんわり熱を放つ。
 いろいろな可能性が脳裏に浮かぶが像を結ぶに至らない。
 直球なのか、駆け引きなのか。
 虚勢を張っているのか、挑発しているのか。
 それとも。

 
 無邪気に笑う、隣の少女を見る。
 ついこの前までは、二人は付き合ってるの?といった類の質問には否定し続けていた。
 可奈がそういう風に見られるのを嫌うから、という理由だけで。
 自分の中では、そう見られることをどう感じるのかとは考えず。

 迷路を抜けて、名前をつけて。
 改めて可奈を見た瞬間、色々なものが見えてきた。
 知らず、沢山抱え込んでいた、色々な感情を、衝動を。
 それに、一つ一つ名前を与えていく。
 ああ、そうだったのか、と名付ける毎に納得していく。
 地道な地道な、そんな作業を延々と。


 全く苦ではない。
 知識と経験を結びつける作業は、楽しい。
 そこにどんな感情が存在するか、体感しながら“正しい知識”が蓄積されていく。
 蓄積される度に、眩暈がするほど動悸が早くなるけれど。
 その都度その都度納得し、嬉しくなる。
 そして、同じ思いを相手もしているかと思うと。

 なんとも言えない、暖かさで胸がいっぱいになる。




 多分、水原さんは怒っている。
 笑顔だけれど、腹をたてているんだ、と思う。
 そうでなければ普通に声をかけるし、もしくは叩いたりして注意を惹こうとするだろう。
 それが、いつもどおりの反応だ。
 耳に噛み付いてくる、なんてことは今までなかった。


 痛いのと同時にぞくりと背筋を支配したその感覚は、今まで経験したことのない類の感覚で。
 そのせいで、思考がまとまらないのだと理解できる。
 この感覚の、この感情の、名前はなんと言うんだろう?
 血が上って、熱く、重くなる頭の中に疑問符がひしめき合う。


 ああ、怒っているから、こんな意地悪をするんだな。
 僕には対応しきれなくて、困るだけだと安心しきっているから。
 本を読むのに集中する前、興味深げに手の中を覗いていたのを思い出す。
 意識を“閉じる”前に、寄せられた頭を、肩の暖かさを覚えている。 
 そうか。
 水原さんと一緒にいるのに、そのまま“置いてきてしまった”ことに腹をたてているのか。
 かちりと知識のピースが埋まる。

 可奈にとって、自分は興味を引きたい相手なんだと頭で理解すると。
 身体が勝手に可奈に触れる。
 抱きしめる。
 考えるより早くに、衝動に駆られる。
 腕の中の、柔らかな感触に身を預けると、相手もそれに答えてくれる。
 幸福感が、ひたひたと体を満たす。
 嬉しい。
 嬉しい、なぁ。


 「すみません、水原さん」
 腕をほんの少し緩めると、相手も緩める。
 少し残念に感じるけれど、このままでは顔が見えない。
 仕方がない。
 両立する術を持たないから、片方の欲求はしばし我慢する。
 「寂しかったですか?」
 泣いているのかというくらい、潤んだ瞳がこちらを睨む。
 口元は、ほんのり微笑んでいるけれど。
 もう、全て。
 額に入れて取っておきたい。
 「……別に。 つまんなかった、だけよ」
 可奈は、唇を尖らせる。
 拗ねた表情は、小さな子どものようで。
 「でも、もういい。 許す」
 ごろごろと喉を鳴らした猫がするように、頭をすり寄せる。

 
 「こういうときは、許さなくていいですよ」
 ふと、見上げる瞳に、精一杯優しく微笑む。
 自分の欲求に飲まれないよう。
 その片鱗を、隠すよう。
 だって、ほら。
 「襲ってくれても、構いません」
 言葉自体はナイフのようで。
 可奈の頬は、みるみる真っ赤になる。
 ……やっぱり。
 その気もないのに、襲うなんて言ったんだな、と理解する。
 「……言葉のあやってヤツよ」
 可奈は、赤らめた顔を隠すように、想の胸に顔を押し当てる。
 ぎゅっと締め付ける、腕が痛いくらいだ。
 

 どこまで触れるのが、許容範囲で。
 どこから先は、アウトなんだろうか。
 定かでないあやふやな、二人の間の境界線を、見極める。
 間違えてもまぁ、多分。
 鉄拳が飛んでくるだけではあろうけれど。
 急いてしまって、詰めた距離が戻るのも、もどかしい。
 それでも。
 それでも。


 伏した睫毛が顔に影を落としている。
 怒ったような顔をしているけれど、恥ずかしくて照れているだけだとお見通しだ。

 くるくるとよく変わる、その表情が好きだ。
 よく通る、その声が好きだ。
 強引で自分本位に見える、解りづらい優しさも。
 平気で他者との境界線を踏み越えられる強さも。
 全部、全部。

 この思いを伝えるには。
 言葉ではどうしたって、足りない。








 理性を越えて、衝動に身を任せる。
 今は、その感覚を理解できる。
 共感できる。
 組み伏せた相手の視線は、熱を帯びている。
 それなら。
 それなら。

 もう一歩、進んでみようか。
 


 瞼を閉じる、その顔に。
 その唇に。


 そっと、優しく。
 口づけた。
PR
拍手(現在3種ランダム)web拍手

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

 


燈可奈アンソロ企画始めました!ご参加お願いしますっ!(切実)
SSはメインページから
気が向いたときにしか収納されない本サイト(爆)

このサイトについて

Q.E.D.証明終了想可奈無節操二次創作何でも置き場です。
拍手は各記事。拍手レスはコメントにて返させていただきます。
>>>はじめに(リンク等)
>>>通販について

Twitter

結構燈可奈絵をあげたりしてるのでお気軽にフォロミー。

貴方の還る場所(日記)