境界0cm(燈可奈)
前回の続き。
傾き10度がロジカルな感じの心理描写だったので、そのままロジカル返し。
が、がんばって甘々にしてみたよ!!
そこに溶けきれなくてじゃりじゃり残ってるよ!!!
ただただ、甘いばっかりなのってそういえば書いたことなかった……!
自分的に書いてて衝撃。
書いてて恥ずかしい。
超。
遠雷ほどではないけれど。
遠雷恥ずかしすぎてもう読めない(爆)
でもたまに読み返してうわーうわーってやってる。
エロ本道端で見つけた子供か。
……時間を置いてもう一回読んでみたらそうでもなかった。
どういう基準で甘い!甘すぎる!と思ったのか謎。
脳内ではさらにもう3段階くらい活用してたんだろうか???
寮にいた時のことを思い出す。
ルームメイトがパートナーを連れて部屋に入って来た時には、無言でどこか、時間の潰せるところを探して部屋を出る。
それは、毎回毎回。
何度も何度も。
初めてその場に遭遇したときには、走るように逃げ出した。
ハイスクール時代はともかくとして、いくらなんでもその頃には、それがどういう行為をするためかということは知っていたから。
気にしないよ、という人もいる。
気まずいけれど我慢する、という人もいる。
自分もだからお互い様、という人もいる。
想は、流石に我慢してその場に留まる、ということは出来なかった。
性的なことに興味があれば、あるいは我慢も出来るかもしれないけれど。
全くと言っていいほど、その頃は興味が湧かなかった。
興味があるのは、数学の事のみ。
むしろ、どうしてそういう行為を貪ることができるのか、と純粋に不思議に思っていた。
ほんの少し前までは。
その理由を、理解は出来るものの、共感は出来なかった。
身体的にも精神的にも成長して、なんとなくでその欲求は理解していても。
その衝動に駆られる、というところまではどうしても至らなかった。
こっち見てくんないなら、襲っちゃうよ?
耳元で囁かれた、甘い言葉。
……立派な殺し文句じゃないですか、それ。
想は内心嘯く。
どういう意図でその行為をしたのか、考える。
相変わらず、食まれた耳はじんわり熱を放つ。
いろいろな可能性が脳裏に浮かぶが像を結ぶに至らない。
直球なのか、駆け引きなのか。
虚勢を張っているのか、挑発しているのか。
それとも。
無邪気に笑う、隣の少女を見る。
ついこの前までは、二人は付き合ってるの?といった類の質問には否定し続けていた。
可奈がそういう風に見られるのを嫌うから、という理由だけで。
自分の中では、そう見られることをどう感じるのかとは考えず。
迷路を抜けて、名前をつけて。
改めて可奈を見た瞬間、色々なものが見えてきた。
知らず、沢山抱え込んでいた、色々な感情を、衝動を。
それに、一つ一つ名前を与えていく。
ああ、そうだったのか、と名付ける毎に納得していく。
地道な地道な、そんな作業を延々と。
全く苦ではない。
知識と経験を結びつける作業は、楽しい。
そこにどんな感情が存在するか、体感しながら“正しい知識”が蓄積されていく。
蓄積される度に、眩暈がするほど動悸が早くなるけれど。
その都度その都度納得し、嬉しくなる。
そして、同じ思いを相手もしているかと思うと。
なんとも言えない、暖かさで胸がいっぱいになる。
多分、水原さんは怒っている。
笑顔だけれど、腹をたてているんだ、と思う。
そうでなければ普通に声をかけるし、もしくは叩いたりして注意を惹こうとするだろう。
それが、いつもどおりの反応だ。
耳に噛み付いてくる、なんてことは今までなかった。
痛いのと同時にぞくりと背筋を支配したその感覚は、今まで経験したことのない類の感覚で。
そのせいで、思考がまとまらないのだと理解できる。
この感覚の、この感情の、名前はなんと言うんだろう?
血が上って、熱く、重くなる頭の中に疑問符がひしめき合う。
ああ、怒っているから、こんな意地悪をするんだな。
僕には対応しきれなくて、困るだけだと安心しきっているから。
本を読むのに集中する前、興味深げに手の中を覗いていたのを思い出す。
意識を“閉じる”前に、寄せられた頭を、肩の暖かさを覚えている。
そうか。
水原さんと一緒にいるのに、そのまま“置いてきてしまった”ことに腹をたてているのか。
かちりと知識のピースが埋まる。
可奈にとって、自分は興味を引きたい相手なんだと頭で理解すると。
身体が勝手に可奈に触れる。
抱きしめる。
考えるより早くに、衝動に駆られる。
腕の中の、柔らかな感触に身を預けると、相手もそれに答えてくれる。
幸福感が、ひたひたと体を満たす。
嬉しい。
嬉しい、なぁ。
「すみません、水原さん」
腕をほんの少し緩めると、相手も緩める。
少し残念に感じるけれど、このままでは顔が見えない。
仕方がない。
両立する術を持たないから、片方の欲求はしばし我慢する。
「寂しかったですか?」
泣いているのかというくらい、潤んだ瞳がこちらを睨む。
口元は、ほんのり微笑んでいるけれど。
もう、全て。
額に入れて取っておきたい。
「……別に。 つまんなかった、だけよ」
可奈は、唇を尖らせる。
拗ねた表情は、小さな子どものようで。
「でも、もういい。 許す」
ごろごろと喉を鳴らした猫がするように、頭をすり寄せる。
「こういうときは、許さなくていいですよ」
ふと、見上げる瞳に、精一杯優しく微笑む。
自分の欲求に飲まれないよう。
その片鱗を、隠すよう。
だって、ほら。
「襲ってくれても、構いません」
言葉自体はナイフのようで。
可奈の頬は、みるみる真っ赤になる。
……やっぱり。
その気もないのに、襲うなんて言ったんだな、と理解する。
「……言葉のあやってヤツよ」
可奈は、赤らめた顔を隠すように、想の胸に顔を押し当てる。
ぎゅっと締め付ける、腕が痛いくらいだ。
どこまで触れるのが、許容範囲で。
どこから先は、アウトなんだろうか。
定かでないあやふやな、二人の間の境界線を、見極める。
間違えてもまぁ、多分。
鉄拳が飛んでくるだけではあろうけれど。
急いてしまって、詰めた距離が戻るのも、もどかしい。
それでも。
それでも。
伏した睫毛が顔に影を落としている。
怒ったような顔をしているけれど、恥ずかしくて照れているだけだとお見通しだ。
くるくるとよく変わる、その表情が好きだ。
よく通る、その声が好きだ。
強引で自分本位に見える、解りづらい優しさも。
平気で他者との境界線を踏み越えられる強さも。
全部、全部。
この思いを伝えるには。
言葉ではどうしたって、足りない。
理性を越えて、衝動に身を任せる。
今は、その感覚を理解できる。
共感できる。
組み伏せた相手の視線は、熱を帯びている。
それなら。
それなら。
もう一歩、進んでみようか。
瞼を閉じる、その顔に。
その唇に。
そっと、優しく。
口づけた。
傾き10度がロジカルな感じの心理描写だったので、そのままロジカル返し。
が、がんばって甘々にしてみたよ!!
そこに溶けきれなくてじゃりじゃり残ってるよ!!!
ただただ、甘いばっかりなのってそういえば書いたことなかった……!
自分的に書いてて衝撃。
書いてて恥ずかしい。
超。
遠雷ほどではないけれど。
遠雷恥ずかしすぎてもう読めない(爆)
でもたまに読み返してうわーうわーってやってる。
エロ本道端で見つけた子供か。
……時間を置いてもう一回読んでみたらそうでもなかった。
どういう基準で甘い!甘すぎる!と思ったのか謎。
脳内ではさらにもう3段階くらい活用してたんだろうか???
寮にいた時のことを思い出す。
ルームメイトがパートナーを連れて部屋に入って来た時には、無言でどこか、時間の潰せるところを探して部屋を出る。
それは、毎回毎回。
何度も何度も。
初めてその場に遭遇したときには、走るように逃げ出した。
ハイスクール時代はともかくとして、いくらなんでもその頃には、それがどういう行為をするためかということは知っていたから。
気にしないよ、という人もいる。
気まずいけれど我慢する、という人もいる。
自分もだからお互い様、という人もいる。
想は、流石に我慢してその場に留まる、ということは出来なかった。
性的なことに興味があれば、あるいは我慢も出来るかもしれないけれど。
全くと言っていいほど、その頃は興味が湧かなかった。
興味があるのは、数学の事のみ。
むしろ、どうしてそういう行為を貪ることができるのか、と純粋に不思議に思っていた。
ほんの少し前までは。
その理由を、理解は出来るものの、共感は出来なかった。
身体的にも精神的にも成長して、なんとなくでその欲求は理解していても。
その衝動に駆られる、というところまではどうしても至らなかった。
こっち見てくんないなら、襲っちゃうよ?
耳元で囁かれた、甘い言葉。
……立派な殺し文句じゃないですか、それ。
想は内心嘯く。
どういう意図でその行為をしたのか、考える。
相変わらず、食まれた耳はじんわり熱を放つ。
いろいろな可能性が脳裏に浮かぶが像を結ぶに至らない。
直球なのか、駆け引きなのか。
虚勢を張っているのか、挑発しているのか。
それとも。
無邪気に笑う、隣の少女を見る。
ついこの前までは、二人は付き合ってるの?といった類の質問には否定し続けていた。
可奈がそういう風に見られるのを嫌うから、という理由だけで。
自分の中では、そう見られることをどう感じるのかとは考えず。
迷路を抜けて、名前をつけて。
改めて可奈を見た瞬間、色々なものが見えてきた。
知らず、沢山抱え込んでいた、色々な感情を、衝動を。
それに、一つ一つ名前を与えていく。
ああ、そうだったのか、と名付ける毎に納得していく。
地道な地道な、そんな作業を延々と。
全く苦ではない。
知識と経験を結びつける作業は、楽しい。
そこにどんな感情が存在するか、体感しながら“正しい知識”が蓄積されていく。
蓄積される度に、眩暈がするほど動悸が早くなるけれど。
その都度その都度納得し、嬉しくなる。
そして、同じ思いを相手もしているかと思うと。
なんとも言えない、暖かさで胸がいっぱいになる。
多分、水原さんは怒っている。
笑顔だけれど、腹をたてているんだ、と思う。
そうでなければ普通に声をかけるし、もしくは叩いたりして注意を惹こうとするだろう。
それが、いつもどおりの反応だ。
耳に噛み付いてくる、なんてことは今までなかった。
痛いのと同時にぞくりと背筋を支配したその感覚は、今まで経験したことのない類の感覚で。
そのせいで、思考がまとまらないのだと理解できる。
この感覚の、この感情の、名前はなんと言うんだろう?
血が上って、熱く、重くなる頭の中に疑問符がひしめき合う。
ああ、怒っているから、こんな意地悪をするんだな。
僕には対応しきれなくて、困るだけだと安心しきっているから。
本を読むのに集中する前、興味深げに手の中を覗いていたのを思い出す。
意識を“閉じる”前に、寄せられた頭を、肩の暖かさを覚えている。
そうか。
水原さんと一緒にいるのに、そのまま“置いてきてしまった”ことに腹をたてているのか。
かちりと知識のピースが埋まる。
可奈にとって、自分は興味を引きたい相手なんだと頭で理解すると。
身体が勝手に可奈に触れる。
抱きしめる。
考えるより早くに、衝動に駆られる。
腕の中の、柔らかな感触に身を預けると、相手もそれに答えてくれる。
幸福感が、ひたひたと体を満たす。
嬉しい。
嬉しい、なぁ。
「すみません、水原さん」
腕をほんの少し緩めると、相手も緩める。
少し残念に感じるけれど、このままでは顔が見えない。
仕方がない。
両立する術を持たないから、片方の欲求はしばし我慢する。
「寂しかったですか?」
泣いているのかというくらい、潤んだ瞳がこちらを睨む。
口元は、ほんのり微笑んでいるけれど。
もう、全て。
額に入れて取っておきたい。
「……別に。 つまんなかった、だけよ」
可奈は、唇を尖らせる。
拗ねた表情は、小さな子どものようで。
「でも、もういい。 許す」
ごろごろと喉を鳴らした猫がするように、頭をすり寄せる。
「こういうときは、許さなくていいですよ」
ふと、見上げる瞳に、精一杯優しく微笑む。
自分の欲求に飲まれないよう。
その片鱗を、隠すよう。
だって、ほら。
「襲ってくれても、構いません」
言葉自体はナイフのようで。
可奈の頬は、みるみる真っ赤になる。
……やっぱり。
その気もないのに、襲うなんて言ったんだな、と理解する。
「……言葉のあやってヤツよ」
可奈は、赤らめた顔を隠すように、想の胸に顔を押し当てる。
ぎゅっと締め付ける、腕が痛いくらいだ。
どこまで触れるのが、許容範囲で。
どこから先は、アウトなんだろうか。
定かでないあやふやな、二人の間の境界線を、見極める。
間違えてもまぁ、多分。
鉄拳が飛んでくるだけではあろうけれど。
急いてしまって、詰めた距離が戻るのも、もどかしい。
それでも。
それでも。
伏した睫毛が顔に影を落としている。
怒ったような顔をしているけれど、恥ずかしくて照れているだけだとお見通しだ。
くるくるとよく変わる、その表情が好きだ。
よく通る、その声が好きだ。
強引で自分本位に見える、解りづらい優しさも。
平気で他者との境界線を踏み越えられる強さも。
全部、全部。
この思いを伝えるには。
言葉ではどうしたって、足りない。
理性を越えて、衝動に身を任せる。
今は、その感覚を理解できる。
共感できる。
組み伏せた相手の視線は、熱を帯びている。
それなら。
それなら。
もう一歩、進んでみようか。
瞼を閉じる、その顔に。
その唇に。
そっと、優しく。
口づけた。
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