乙女模様
ジューンブライドはなんとか終わりましたので……あとは印刷製本のみ……
漫画は終わんないなぁ……(泣
なんとか、小説もう一冊は仕上げます……しあげたい(
以下、ちょっと思いついた可奈立樹ちゃんSS。
『乙女模様』
「水原さんていつも爪綺麗にしてますよね」
まじまじと可奈の爪先を見つめながら、立樹は呟いた。
綺麗に整えられた爪に、涼しげな水色のグラデーション。
もちろん、学校がある日や部活の日には遊んだりは出来ないけれど、夏休み中は余裕がある分、足と一緒によく塗り直したりしていた。
「あれ? 七瀬さんもネイルとか興味ある? やったげよっか?」
確かさっき買ったのが、と鞄をごそごそするのをいやいや、と立樹は手を振り止める。
「私深爪してるんでムリですよ。元々の爪の形もあんまり良くないし」
合気道の稽古や家の仕事のこともあり、立樹は爪を伸ばしたことがない。ネイルアートとか気になったりはするものの、やはりそれなりの長さがないと格好がつかないくらい理解できる。
可奈も伸ばしている訳ではなさそうだけれど、少なくとも自分の物よりは細長く、格好がいい。羨ましい。
「甘皮とかちゃんと処理すれば指が長く見えるし全然違うよ。まぁちょっと手を貸してみ」
いつの間にやら出してきた小さな紙袋から、細長い棒やら透き通った赤い色の小瓶やらを取り出した可奈が手招きをする。
おっかなびっくり差し出すと、ちょいちょいとなにやら液体を爪周りに塗布しマッサージをし始めた。甲斐甲斐しく世話をする可奈の指先は白くてなめらかで見ていてどきどきしてしまう。
対して自分の指はどうだろう。水仕事がどうしても多いせいで手入れをしていても指先はかさついている。
「水原さんて」
「ん?」
真剣な顔をしてじっと手を見たままの可奈に、思わず立樹は呟いた。
「いつも素敵ですよね。手を抜いてないというか……おしゃれだし、お化粧もきちんとしてるし」
女性として常に身だしなみに手を抜かない姿は見習いたい。……なかなかやろうとしても出来ないんだけれど。気がつくと、私服は汚れても大丈夫なTシャツGパンばっかりだ。流石に祖父に付き合って外出したりするときにはTPOを弁えた服を着るけれど。
溜め息交じりの立樹の感嘆を、可奈は不満そうに聞き視線を上げる。
「えー、私は七瀬さんの方がイイと思うけどな」
「どこがですか?」
今日も例によってしゃれているとは言えない格好だ。
どうしたって可奈よりいいとは思えない。
表情で思っていることが伝わったのか、可奈は表情を和らげながら、首を傾けた。
対応するように立樹も首を傾げると、そうそれ、と可奈は言う。
「立ち姿とか所作とかこういうの? 一つ一つがすごく綺麗なんだよね。持って生まれたものってどうやったってマネできないからさ、私は憧れちゃうなぁ」
格好なんて作ろうと思えばいくらでも作れる。けれど纏う空気や諸々、そういうものはどうしようもない。可奈は気品の「き」の字も持ち合わせが無いことは自分自身で自覚しているから、そういう面で、立樹の存在は羨望の対象だ。
「そんなことないですよ。一生懸命学校で『作って』るんですから。私、実際ガサツなんですよ?」
「ガサツってのは私みたいなのを言うんだよ。……着てるものとか考えないで動くから、よく父さんに怒られる」
渇いた笑いを浮かべつつ、可奈はちょいちょいと手を動かしている。
いつの間にやら爪先にほんのり赤みが差していた。
つやつやと光を帯びたそれは、まるで宝石がそこにあるようだ。
──私の爪じゃないみたい……
小さな刷毛がちょんちょんと動いているのをじぃっと見ながら心が躍る。
「たまにはこういうのもいいんじゃない? 森羅君喜ぶかもよ?」
可奈の言葉に、立樹は森羅の笑顔を想像する。
屈託のない笑みで手を取りながら、「うわぁ! すごく綺麗だね!」と言う姿。
そのときに自分は、どんな顔をしてどんな返事をするのか想像が出来ない。
絶句して顔を赤らめる立樹の姿を見て、可奈は思わず声を上げて笑った。
漫画は終わんないなぁ……(泣
なんとか、小説もう一冊は仕上げます……しあげたい(
以下、ちょっと思いついた可奈立樹ちゃんSS。
『乙女模様』
「水原さんていつも爪綺麗にしてますよね」
まじまじと可奈の爪先を見つめながら、立樹は呟いた。
綺麗に整えられた爪に、涼しげな水色のグラデーション。
もちろん、学校がある日や部活の日には遊んだりは出来ないけれど、夏休み中は余裕がある分、足と一緒によく塗り直したりしていた。
「あれ? 七瀬さんもネイルとか興味ある? やったげよっか?」
確かさっき買ったのが、と鞄をごそごそするのをいやいや、と立樹は手を振り止める。
「私深爪してるんでムリですよ。元々の爪の形もあんまり良くないし」
合気道の稽古や家の仕事のこともあり、立樹は爪を伸ばしたことがない。ネイルアートとか気になったりはするものの、やはりそれなりの長さがないと格好がつかないくらい理解できる。
可奈も伸ばしている訳ではなさそうだけれど、少なくとも自分の物よりは細長く、格好がいい。羨ましい。
「甘皮とかちゃんと処理すれば指が長く見えるし全然違うよ。まぁちょっと手を貸してみ」
いつの間にやら出してきた小さな紙袋から、細長い棒やら透き通った赤い色の小瓶やらを取り出した可奈が手招きをする。
おっかなびっくり差し出すと、ちょいちょいとなにやら液体を爪周りに塗布しマッサージをし始めた。甲斐甲斐しく世話をする可奈の指先は白くてなめらかで見ていてどきどきしてしまう。
対して自分の指はどうだろう。水仕事がどうしても多いせいで手入れをしていても指先はかさついている。
「水原さんて」
「ん?」
真剣な顔をしてじっと手を見たままの可奈に、思わず立樹は呟いた。
「いつも素敵ですよね。手を抜いてないというか……おしゃれだし、お化粧もきちんとしてるし」
女性として常に身だしなみに手を抜かない姿は見習いたい。……なかなかやろうとしても出来ないんだけれど。気がつくと、私服は汚れても大丈夫なTシャツGパンばっかりだ。流石に祖父に付き合って外出したりするときにはTPOを弁えた服を着るけれど。
溜め息交じりの立樹の感嘆を、可奈は不満そうに聞き視線を上げる。
「えー、私は七瀬さんの方がイイと思うけどな」
「どこがですか?」
今日も例によってしゃれているとは言えない格好だ。
どうしたって可奈よりいいとは思えない。
表情で思っていることが伝わったのか、可奈は表情を和らげながら、首を傾けた。
対応するように立樹も首を傾げると、そうそれ、と可奈は言う。
「立ち姿とか所作とかこういうの? 一つ一つがすごく綺麗なんだよね。持って生まれたものってどうやったってマネできないからさ、私は憧れちゃうなぁ」
格好なんて作ろうと思えばいくらでも作れる。けれど纏う空気や諸々、そういうものはどうしようもない。可奈は気品の「き」の字も持ち合わせが無いことは自分自身で自覚しているから、そういう面で、立樹の存在は羨望の対象だ。
「そんなことないですよ。一生懸命学校で『作って』るんですから。私、実際ガサツなんですよ?」
「ガサツってのは私みたいなのを言うんだよ。……着てるものとか考えないで動くから、よく父さんに怒られる」
渇いた笑いを浮かべつつ、可奈はちょいちょいと手を動かしている。
いつの間にやら爪先にほんのり赤みが差していた。
つやつやと光を帯びたそれは、まるで宝石がそこにあるようだ。
──私の爪じゃないみたい……
小さな刷毛がちょんちょんと動いているのをじぃっと見ながら心が躍る。
「たまにはこういうのもいいんじゃない? 森羅君喜ぶかもよ?」
可奈の言葉に、立樹は森羅の笑顔を想像する。
屈託のない笑みで手を取りながら、「うわぁ! すごく綺麗だね!」と言う姿。
そのときに自分は、どんな顔をしてどんな返事をするのか想像が出来ない。
絶句して顔を赤らめる立樹の姿を見て、可奈は思わず声を上げて笑った。
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