Are you ready?
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しかし、漫画じゃいっちゃいっちゃさせてるのに、どうして小説はいちゃいちゃさせないんだろうう自分……
もっといちゃいちゃさせていいのよ……
しかし、漫画じゃいっちゃいっちゃさせてるのに、どうして小説はいちゃいちゃさせないんだろうう自分……
もっといちゃいちゃさせていいのよ……
『Are you ready?』
「燈馬君てキスしたことあんの?」
開口一番にそう言われたものだから、燈馬は目を大きく見開いた。
「……何ですか急に」
「あるかなしでいいから。いいから答えろよ!」
詰め寄るようにずい、とワークデスクに両手をついてにじり寄る。
至近距離まで顔が寄っているのに、可奈は問いの答えを聞くのが最重要なのか気にする素振りは全くない。
なんで怒り口調なのかは解らないけれど、耳まで真っ赤なことから、何かしら学校で出来事があって、勢いだけでそのままここまで来たのだと理解はできた。
「香坂さんたちと、何か賭けでもしたんですか?」
考えられる可能性のひとつを挙げると、可奈はわかってんじゃん、と大きく一つ頷いた。
成る程、いつものようにのせられたのだな、と思ったけれど、命が惜しいので口には出さない。
「水原さんはどっちに賭けたんですか?」
燈馬が問うと、可奈は非常に言いづらそうに、落ち着かない様子であちらこちらに視線を飛ばす。
「…………言いくるめられて、ある、の、方に……」
おや意外、と燈馬は声を思わず上げた。
「水原さんは“ない”にかけたのかと思いましたけど」
「私だってないに賭けたかった!」
真っ赤な顔のまま、可奈は叫ぶ。
燈馬君にそんな甲斐性があるとは思えないしっ!相手がいるとか想像できないし!などと彼女はブツブツ何かを言っているが、必死で言い訳めいた言葉を探してる姿があまりにおかしくて、思わず燈馬は声を上げて笑った。
ぎろりと睨まれるが、恥ずかしさで朱に染まった顔では迫力はあまりない。
「まぁ、そうですね。確かに水原さんの言う通り相手も居ませんでしたし。口と口、という意味でしたらしたことはないですね」
なんとか呼吸を収め、まだ震えの止まらない声で燈馬はそう言う。
可奈はそれを聞き、あからさまに表情が明るくなった。
「だよね! ……うん、そうだよねっ……」
安堵するような嬉しい表情で何度も可奈は頷く。可奈は逆に賭けている筈なのに。
……そんなに僕がキスをしたことがないと嬉しいんですか?
それは、どういう意味で?
悪戯心が、首を擡げる。
「でも、それじゃあ水原さん、賭けに負けちゃいますよね?」
平静を装って、普段と変わりなく、燈馬は仕掛けてみる。
可奈は気付かずにニコニコと手を振って否定する。
「あー、いいよいいよそんくらいっ! 悪かったね、変なこと訊いて」
勢いだけて乗り出していた上半身を、テーブルから元の位置へと体重移動をする。
その手を取って引き寄せると、再び顔と顔の距離が近くなった。呆気にとられたままの表情で可奈と燈馬の視線が絡まる。
「本当にいいんですか? 賭け。まだ勝てる見込みあるじゃないですか」
「……え?」
そんなことを言われたって。
事実、燈馬はキスをしたことがないのだ。それをひっくり返すことなんて出来やしない。勝てる見込みなんて全くないのに、こいつは何を言っているのか。
怪訝そうに可奈が眉をひそめるのを見て、
「今、キスをしちゃえばいいじゃないですか」
と、燈馬は再度にっこりと笑い、さも名案だと言うように首を傾げた。
思考が止まる。十数秒。
「…………ゴメン、聞こえなかった」
深く考えたらいけない気がすると、頭の中で警鐘が鳴り響く。聞かなかった事にすればこの気まずい空気からなんとか逃げられるかと一縷の望みをかけて。
しかし、そんな考えはいとも容易く打ち破られる。
「今キスしちゃえば、水原さんの一人勝ちですよ」
手を掴んだまま、至近距離で微笑んでいるのを見せつけられるというのは、怖い。
どういう考えで、そういう一言が出せるのか。
「…………」
「水原さん?」
俯いて無言になった可奈の顔を、そっと燈馬は覗き込む。
「……大丈夫、ちょっと高価めのホテルのケーキバイキングを奢るくらいで済んでるから……うん……だから……大丈夫……ひとりにせんななひゃくえん……うん……」
自分に言い聞かせるように、可奈はなにやら呟いていた。
可奈の事だから『しない』と即答しそうなものなのに。
いよいよ、からかい甲斐がある。
「……もしかして迷ってます?」
さらに真っ赤に染まる頭を見て、燈馬はそっと訊いてみる。
可奈は弾かれたように顔を上げると、燈馬を睨み付けて叫んだ。
「んな訳ないじゃん! キスだよキス! 私だって初めてなんだから!! 乙女のファーストキスを何だと思ってんだよ!!」
表情や様子から図星を指されてムキになっているのは丸わかりだ。単純で可愛らしい。
燈馬は吹き出しそうになるのを堪えて、可奈からぱっと手を離した。
なるべくいつも通りの感じで聞こえるように、平静を装いながら感情を隠す。
「そうですよね。財布が痛いのは水原さんですから。僕は関係ありませんしね」
びくり、と可奈の身が震える。
二人分で六千円弱は、一介の高校生にはかなりキツイ。
金銭面と別の何かを、心の中の天秤にかける。
え、でもかけていいもんなんだろうか? と自問自答も忘れずに。
「…………」
無言で腕を組み、考え始める可奈を見る。
表情はその間もくるくると変わるから、見ていて飽きない。
真剣に、財布の事情とキスのどちらを取るかと悩んでいる。
そこまで悩まれると複雑な気もするけれど、仕方が無い。
「…………」
可奈は俯いたまま、ぼそぼそと何かを呟いた。
聞き取れなくて、燈馬は机から回り込んで、可奈の前に移動する。
「……何ですか?」
「…………なら」
近寄っても、声が小さすぎて聞き取れない。
「はい?」
再度、燈馬は聞き返す。
可奈は眉をつり上げながら、視線を逸らして三度目になる、同じ台詞を口にした。
「さ、触るくらいならいいっつってんの!」
「……はぁ」
燈馬から、なんとも気の抜けた声が上がる。
「……何だよその反応」
意を決して恥ずかしい台詞を、行為を決めたのに、その相手の反応がこれかよ。
本人が言い出したことなんだからもっと喜べばいいのに、と半ば八つ当たり状態でそう思う。
燈馬は大して興味がない様子で、可奈にもう半歩、近づいた。
目と鼻の先に可奈の顔。威圧感で、可奈は寄られた分の半歩、後ずさった。
「別に、僕は今でなくて構いませんから。お好きにしていってください」
燈馬は両腕を差し伸べる。
「どうぞ? しづらいなら目を閉じましょうか?」
その表情は僅かに口角は上がっているが、先程より楽しさを前面に強調していない。
「なんだよっ、燈馬君から言い出したくせに、燈馬君自身はしたくないのかよ!」
可奈は思わず声を荒げた。
一大決心をしたというのにこの手のひら返しは流石にひどい。
燈馬はその言葉に肯定も否定もせず。
「こればっかりは僕の気持ちだけじゃ決められないですよね。今この場でキスしたいって思ってるのは、水原さんでしょう?」
ねぇ、と同意を求めるように、首を傾げる。
「っ、狡い!!」
「狡くないですよ。タイミングとか理想とかそういうのが誰しもあるものじゃないですか? それを譲るんですから、せめて自分からして貰わないと」
今ではないけどしたいことはしたい、とこっそり本音を交えながら燈馬は語るが、可奈の意識はそこではなく今するかしないかでまたせめぎ合っている。
さぁどうぞ、と両手を引かれ、また距離が縮まった。
逸らした視線を戻すと燈馬の顔。ほんの少し寄れば、もう唇が届く距離。
「…………」
言葉が出ずに、唇に視線が吸い寄せられる。
もう頭が熱くて考えが纏まらない。ぼうっと意識が遠のいていく気がした。
何にも考えないで、もう流されるままキスしちゃおっかなぁ、とぼんやり思い、またはたと正気に戻る。
お金のためにキスを売っていいのかと。
その金額は、六千円。
「………………っ」
真っ赤な顔で固まった可奈の両肩を、燈馬はぽん、と叩いてみた。
流石に、様子がおかしすぎる。
「……水原さん? 今日は止めますか?」
少々苛めすぎたかと、燈馬は内心焦る。
あんまり攻めると、かえってそういうコトに対して嫌気がさしてしまうかもしれない。
燈馬がキスをしたことがあるか、という賭けはどういう意図でなされたのか。
香坂達が『ない』の方に賭けた、ということは、最初から可奈にハッパをかけるつもりだったのかもしれない。
男女二人きりの空間でキスの経験の有無を訊かせるなんて、普通に考えておかしい。
もしかしたら、最初からどちらにしても可奈に奢らせるつもりはないのかもしれない。
失敗したら失敗で残念会。成功したら成功したでお祝い。
……随分と荒っぽい、悪趣味な計画だ。
こういう事に関して奥手なのだから、彼女なりのペースで進められればいいのに。
先程とは打って変わって、心配そうに可奈を見つめる燈馬を見つめ返してみる。
お金でキスを売る、ということではなくて、燈馬と初めてキスをするタイミング的に、こういうきっかけってどうよって気持ちが根底にある。それに気付いてまた思考がぐるぐると廻っていく。
どうせだったらもうちょっとファーストキスに夢見たいしなぁ。でも実際、いずれはそういう関係になれればいいなぁとか思ってたとこはあるし。どこでどのタイミングでやってもキスはキスだしな。でも理由が最悪じゃない?
別のアプローチで、また脳内が煩くなっていく。収拾が付かなくて。もうどうしたらいいのか。
「…………もう少し待って……心の準備してるから」
しゃがみ込んで、頭を抱える。
結論が出るまでには、もうあと三分。
「燈馬君てキスしたことあんの?」
開口一番にそう言われたものだから、燈馬は目を大きく見開いた。
「……何ですか急に」
「あるかなしでいいから。いいから答えろよ!」
詰め寄るようにずい、とワークデスクに両手をついてにじり寄る。
至近距離まで顔が寄っているのに、可奈は問いの答えを聞くのが最重要なのか気にする素振りは全くない。
なんで怒り口調なのかは解らないけれど、耳まで真っ赤なことから、何かしら学校で出来事があって、勢いだけでそのままここまで来たのだと理解はできた。
「香坂さんたちと、何か賭けでもしたんですか?」
考えられる可能性のひとつを挙げると、可奈はわかってんじゃん、と大きく一つ頷いた。
成る程、いつものようにのせられたのだな、と思ったけれど、命が惜しいので口には出さない。
「水原さんはどっちに賭けたんですか?」
燈馬が問うと、可奈は非常に言いづらそうに、落ち着かない様子であちらこちらに視線を飛ばす。
「…………言いくるめられて、ある、の、方に……」
おや意外、と燈馬は声を思わず上げた。
「水原さんは“ない”にかけたのかと思いましたけど」
「私だってないに賭けたかった!」
真っ赤な顔のまま、可奈は叫ぶ。
燈馬君にそんな甲斐性があるとは思えないしっ!相手がいるとか想像できないし!などと彼女はブツブツ何かを言っているが、必死で言い訳めいた言葉を探してる姿があまりにおかしくて、思わず燈馬は声を上げて笑った。
ぎろりと睨まれるが、恥ずかしさで朱に染まった顔では迫力はあまりない。
「まぁ、そうですね。確かに水原さんの言う通り相手も居ませんでしたし。口と口、という意味でしたらしたことはないですね」
なんとか呼吸を収め、まだ震えの止まらない声で燈馬はそう言う。
可奈はそれを聞き、あからさまに表情が明るくなった。
「だよね! ……うん、そうだよねっ……」
安堵するような嬉しい表情で何度も可奈は頷く。可奈は逆に賭けている筈なのに。
……そんなに僕がキスをしたことがないと嬉しいんですか?
それは、どういう意味で?
悪戯心が、首を擡げる。
「でも、それじゃあ水原さん、賭けに負けちゃいますよね?」
平静を装って、普段と変わりなく、燈馬は仕掛けてみる。
可奈は気付かずにニコニコと手を振って否定する。
「あー、いいよいいよそんくらいっ! 悪かったね、変なこと訊いて」
勢いだけて乗り出していた上半身を、テーブルから元の位置へと体重移動をする。
その手を取って引き寄せると、再び顔と顔の距離が近くなった。呆気にとられたままの表情で可奈と燈馬の視線が絡まる。
「本当にいいんですか? 賭け。まだ勝てる見込みあるじゃないですか」
「……え?」
そんなことを言われたって。
事実、燈馬はキスをしたことがないのだ。それをひっくり返すことなんて出来やしない。勝てる見込みなんて全くないのに、こいつは何を言っているのか。
怪訝そうに可奈が眉をひそめるのを見て、
「今、キスをしちゃえばいいじゃないですか」
と、燈馬は再度にっこりと笑い、さも名案だと言うように首を傾げた。
思考が止まる。十数秒。
「…………ゴメン、聞こえなかった」
深く考えたらいけない気がすると、頭の中で警鐘が鳴り響く。聞かなかった事にすればこの気まずい空気からなんとか逃げられるかと一縷の望みをかけて。
しかし、そんな考えはいとも容易く打ち破られる。
「今キスしちゃえば、水原さんの一人勝ちですよ」
手を掴んだまま、至近距離で微笑んでいるのを見せつけられるというのは、怖い。
どういう考えで、そういう一言が出せるのか。
「…………」
「水原さん?」
俯いて無言になった可奈の顔を、そっと燈馬は覗き込む。
「……大丈夫、ちょっと高価めのホテルのケーキバイキングを奢るくらいで済んでるから……うん……だから……大丈夫……ひとりにせんななひゃくえん……うん……」
自分に言い聞かせるように、可奈はなにやら呟いていた。
可奈の事だから『しない』と即答しそうなものなのに。
いよいよ、からかい甲斐がある。
「……もしかして迷ってます?」
さらに真っ赤に染まる頭を見て、燈馬はそっと訊いてみる。
可奈は弾かれたように顔を上げると、燈馬を睨み付けて叫んだ。
「んな訳ないじゃん! キスだよキス! 私だって初めてなんだから!! 乙女のファーストキスを何だと思ってんだよ!!」
表情や様子から図星を指されてムキになっているのは丸わかりだ。単純で可愛らしい。
燈馬は吹き出しそうになるのを堪えて、可奈からぱっと手を離した。
なるべくいつも通りの感じで聞こえるように、平静を装いながら感情を隠す。
「そうですよね。財布が痛いのは水原さんですから。僕は関係ありませんしね」
びくり、と可奈の身が震える。
二人分で六千円弱は、一介の高校生にはかなりキツイ。
金銭面と別の何かを、心の中の天秤にかける。
え、でもかけていいもんなんだろうか? と自問自答も忘れずに。
「…………」
無言で腕を組み、考え始める可奈を見る。
表情はその間もくるくると変わるから、見ていて飽きない。
真剣に、財布の事情とキスのどちらを取るかと悩んでいる。
そこまで悩まれると複雑な気もするけれど、仕方が無い。
「…………」
可奈は俯いたまま、ぼそぼそと何かを呟いた。
聞き取れなくて、燈馬は机から回り込んで、可奈の前に移動する。
「……何ですか?」
「…………なら」
近寄っても、声が小さすぎて聞き取れない。
「はい?」
再度、燈馬は聞き返す。
可奈は眉をつり上げながら、視線を逸らして三度目になる、同じ台詞を口にした。
「さ、触るくらいならいいっつってんの!」
「……はぁ」
燈馬から、なんとも気の抜けた声が上がる。
「……何だよその反応」
意を決して恥ずかしい台詞を、行為を決めたのに、その相手の反応がこれかよ。
本人が言い出したことなんだからもっと喜べばいいのに、と半ば八つ当たり状態でそう思う。
燈馬は大して興味がない様子で、可奈にもう半歩、近づいた。
目と鼻の先に可奈の顔。威圧感で、可奈は寄られた分の半歩、後ずさった。
「別に、僕は今でなくて構いませんから。お好きにしていってください」
燈馬は両腕を差し伸べる。
「どうぞ? しづらいなら目を閉じましょうか?」
その表情は僅かに口角は上がっているが、先程より楽しさを前面に強調していない。
「なんだよっ、燈馬君から言い出したくせに、燈馬君自身はしたくないのかよ!」
可奈は思わず声を荒げた。
一大決心をしたというのにこの手のひら返しは流石にひどい。
燈馬はその言葉に肯定も否定もせず。
「こればっかりは僕の気持ちだけじゃ決められないですよね。今この場でキスしたいって思ってるのは、水原さんでしょう?」
ねぇ、と同意を求めるように、首を傾げる。
「っ、狡い!!」
「狡くないですよ。タイミングとか理想とかそういうのが誰しもあるものじゃないですか? それを譲るんですから、せめて自分からして貰わないと」
今ではないけどしたいことはしたい、とこっそり本音を交えながら燈馬は語るが、可奈の意識はそこではなく今するかしないかでまたせめぎ合っている。
さぁどうぞ、と両手を引かれ、また距離が縮まった。
逸らした視線を戻すと燈馬の顔。ほんの少し寄れば、もう唇が届く距離。
「…………」
言葉が出ずに、唇に視線が吸い寄せられる。
もう頭が熱くて考えが纏まらない。ぼうっと意識が遠のいていく気がした。
何にも考えないで、もう流されるままキスしちゃおっかなぁ、とぼんやり思い、またはたと正気に戻る。
お金のためにキスを売っていいのかと。
その金額は、六千円。
「………………っ」
真っ赤な顔で固まった可奈の両肩を、燈馬はぽん、と叩いてみた。
流石に、様子がおかしすぎる。
「……水原さん? 今日は止めますか?」
少々苛めすぎたかと、燈馬は内心焦る。
あんまり攻めると、かえってそういうコトに対して嫌気がさしてしまうかもしれない。
燈馬がキスをしたことがあるか、という賭けはどういう意図でなされたのか。
香坂達が『ない』の方に賭けた、ということは、最初から可奈にハッパをかけるつもりだったのかもしれない。
男女二人きりの空間でキスの経験の有無を訊かせるなんて、普通に考えておかしい。
もしかしたら、最初からどちらにしても可奈に奢らせるつもりはないのかもしれない。
失敗したら失敗で残念会。成功したら成功したでお祝い。
……随分と荒っぽい、悪趣味な計画だ。
こういう事に関して奥手なのだから、彼女なりのペースで進められればいいのに。
先程とは打って変わって、心配そうに可奈を見つめる燈馬を見つめ返してみる。
お金でキスを売る、ということではなくて、燈馬と初めてキスをするタイミング的に、こういうきっかけってどうよって気持ちが根底にある。それに気付いてまた思考がぐるぐると廻っていく。
どうせだったらもうちょっとファーストキスに夢見たいしなぁ。でも実際、いずれはそういう関係になれればいいなぁとか思ってたとこはあるし。どこでどのタイミングでやってもキスはキスだしな。でも理由が最悪じゃない?
別のアプローチで、また脳内が煩くなっていく。収拾が付かなくて。もうどうしたらいいのか。
「…………もう少し待って……心の準備してるから」
しゃがみ込んで、頭を抱える。
結論が出るまでには、もうあと三分。
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