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午睡

文字書きリハビリ中~ということで、中途半端に書いてたものをちょいちょい仕上げてみていますっ(`・ω・´)キリッ

とりあえず、拍手ページに三編突っ込みました。
今回上げたのも断片仕上げですっ四つめ。
断片だけでどんくらいあるんだよーという状態ですよねぇ……(滝汗

あと、今ちまちま書いてるのでヘンゼルとグレーテルのパラレルネタで書いてる物があるんですが、まだ途中ということで
こちらpixiv※マイピク限定公開にしてるのでマイピク申請お気軽に
で公開してます~
パラレルネタなんでお好みもあるかと思いますが、よろしければ。




 玄関は、鍵がかかっていなかった。不用心にもほどがある。
 まあいつものことだけど、と可奈は大して気にせずに勝手知ったるなんとやら、とどかどかと家の中へ上がる。どうせ、パソコンを睨みながら自分の世界に入ってしまっているのだろう。
 そう思いながらひょいと書斎と居間を兼ねた空間を覗くと、想像に反して主が居ない。
 トイレに行ってるか休憩でもしてるかな?
 キッチンを覗いても人けはなく、バスルームもスイッチは切れている。
 鍵を忘れて出かけるタイプ……でもないか、考え事してたらドアも開けたまま出そうだし。

 流石に主人並みに生活し慣れた部屋とはいえ、寝室だけはプライベートもプライベート、入ってはいけない領域だろうなぁと避けていた。ここまで侵略しておいて今更かなぁという気もしないでもないけれど。
 そ、とその隙間から覗いてみると。
 上半身だけベッドに預けたまま、突っ伏して寝息を立てる想の姿があった。


 そろりそろりとなるべく足音を立てずに近寄ってみるが、全く起きる気配はない。ここんとこたてこんでるとか言っていたっけ、と無防備な寝顔を見ながら思い出す。
 起こさないように抱えてベッドに寝かし直すと、ころり、と頭がこちらを向く。
 寝顔は年の割りには幼く見えるな、と思わす手を伸ばした先にははっきりと現れている隈があり。よくよく見ると眉間にも皺が寄っている。
 どんだけ根を詰めたんだか。
 目の下を指先でなぞると、くすぐったいのかぴくり、と頬が揺れた。

 「……いつから起きてたんだよ」
 想の目が、そろりと開く。このタヌキ、と軽く小突くとさっきまでは本当に寝てましたよ、と苦笑する。
「寝かし直して貰った時に。抱き上げてくれる水原さんの腕の中があまりに気持ちよかったから、ついまたうとうと、と」
 どこまでが本当なんだか。
 しかし、起こしてしまったのは本当だろうし、眠いのもまた事実だろう。まだ疲労が残っているだろう硬い表情や気怠そうな雰囲気から、それを察する。
 それはそれは悪いことをした。
 可奈は布団をかけ直し、腹の辺りをぽんぽんと叩いた。母親が子どもを寝付かせるように。
 想は嬉しそうに目を細める。本当に、こういう表情は年よりずっと子どもっぽい。だから余計に、可奈も自然と母親然となってしまう。庇護欲をかき立てられるというか、母性本能をくすぐるというのか。

「起こしちゃって悪いね、ゆっくり寝てな。夕飯作って置くから適当に」
 食べな、と言う前に可奈の言葉が切れた。
 視界が暗転。ふらふら前後に揺れている。
 軋む音が目の前からするから、自分の頭はベッドに埋もれているのだろう。目の端には黒い絹糸。恐らく想に寝たまま抱き寄せられたのか。
 下敷きになっている身体が楽しそうに笑い震えている。こんなことして何が楽しいのか。本当にガキなんだからもう。
 息苦しさに頭を外側へと回すと、渡りに舟とばかりに体が反転させられ、背後から抱きしめられる格好になる。
「……このまま、もう少し寝てもいいですか?」
 頭をすり寄せられた首筋に、音と一緒に吐息が通り抜ける。しっかりと抱かれているから身動きも取れない。
 ……嫌って言ったって離すつもりはないんだろ? ため息を吐きながらなんと答えようか思案する。
「…………眠れんの? 付き合ってもいいけど私寝相悪いよ?」
 辛うじて、そんな軽口を叩いてみるが、
「大丈夫です。離しませんから」
 間髪入れずにそう答えられ、抱かれる腕に力が篭った。
「あ、そう……」
 私は抱き枕か。
 そう突っ込もうかと思ったけれど、間も開けずに規則正しい寝息が聞こえる。どうやら本当に抱き枕として可奈を使うつもりらしい。眠くて眠くて堪らなかったのだろう。背中を伝わってくる熱は高い。
 コイツは眠いとこんなに甘ったれになるのか。ここまで甘えてこられるのは珍しい。
 寝ている間も絶対離さないとでもいうようにしっかり身体がホールドされている。
 まぁ確かに人肌は温かいし気持ちいいよな。これで安眠できるというならしばらく付き合ってやるのも普段世話になってる恩返しになるのかなぁ、と寝返りも出来ない状態で諦める。
 折角寝顔を至近距離で拝めるチャンスなのに、向かい合わせで寝ていないから覗き込むことが出来ない。いやいや、対面で抱き合って眠るとかどう考えてもおかしいだろ。いやまぁ今の状況だってどうなの?って思うけどさ。
 先程見たあどけない寝顔を思い出しながら、まぁ、仕方がないかと目を閉じる。
 最初は緊張していた身体が、寝息や与えられる温かさですっかり解けてしまい、程よく眠気が襲ってきた。


 私を抱きかかえて寝ちゃってさ。一緒に寝ちゃったら燈馬君、晩御飯どうすんのさ。まだ何にも手を付けてないってのに。腹を空かせて目が覚めて、食べるものも無くて困ればいいんだ。

 くわわ、と欠伸を一つして。
 真後ろの呼吸に合わせて吐息を零す。
 眠気って感染るんだなぁとぼんやり思いつつ、可奈の意識はゆっくりゆっくり、沈んでいった。
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