化学変化とその構造式 ③ (想可奈)
死ぬ気か!
そんなこんなで現在動画を描いてます。
またトレス(というかリスペクト?)ですが。
ペンタブ使うの下手なんでアナログに印刷して描いてます。
パソコンでかける人うらやましいなぁ。
因みにSSは、携帯で思うまま書き連ねてPCで編集してUPしてます。
プロット?なにそれおいしいの?という感じで、ほぼ一発書き&いきあたりばったりです。
……正直、連続物で書いてるけど、先が見えないんです……
あと2回でホントに終われるのかな?
そんなこんなで、続きは以下からどうぞ。
たとえば、崖っぷちを歩いているようなもの。
ふらふら、頼り無げに、両腕を広げて。
風に煽られればぐらりと傾き、踏み外せばそのまま転がるように崖下へ。
足元は見ない。
見られない。
見たら、足がすくんで動けなくなる。
もしくは、あまりの高さに目がくらんで、卒倒してしまう。
あーあー、そーゆー感じだなぁ。
屋上から下を眺めて、可奈は妙に納得してしまった。
あいつと私の関係は、きっとそんな感じで。
自覚さえしなければ、ずっとこのまま歩き続けていたんだと、思う。
恋は『落ちる』もの。
理屈じゃない。
紀子だったか香坂だったか、誰が言っていたのかは忘れちゃったけど、まさか、自分でそんな自覚をするとは思わなかった。
……いや、まだ自覚をしているわけじゃないんだ。
確認よ、確認。
あんなに素直に、自分のことを見ているのが好きなんて言われたのは初めてだったな、と可奈は思った。
あの後、どきどきと早鐘を打つ鼓動が落ち着かず、燈馬の顔を見たらどうにかなってしまいそうで。
どうにも冷静でいられずに、ホームルームが終わり放課後になると、逃げるように屋上へ上がって来てしまった。
部活があれば無心で体を動かしてすっきりすることもできたのに、残念ながらテスト前期間、部室に寄って誰かとだべることも許されない。
誰かを殴ったり頭を冷やせばこんな気持ちは元通り!
と思ったのだが、普段殴る相手と顔を合わせづらい状態だったため、冷却の方を求めて屋上に上ってきた。
結果、柄にも無くドツボに嵌ってしまった。
ぼんやり景色なんて見てるからいけないんだよ。
そうは解っていても、思考の迷路に入ってしまうと、どうにも抜けられない。
考えない考えないと意地になっているのもそのうちばかばかしくなり、諦めてそのまま流れに乗って思い巡らせることに腹を括ると、多少は気持ちが落ち着いた。
何度も助けてもらったりはしてるけど、それは友達として大事に思ってくれてるからだ、とずっと思ってた。
なんていうの?
恋愛感情っていうより、人間愛とか隣人愛?みたいなの。
信頼されてるのが嬉しくて、一緒にいるのが楽しくて。
そんな感じでずるずる来てるんだよなぁ。
……そりゃ、ちょっとはそういう、好意的なものも考えたさ。
でも、あの燈馬君だよ。
いわゆる、ラブの方の好きって、なんか想像つかなかったんだよね。
燈馬の発言の諸々が、すべてが真っ黒に思えてくる。
疑わしきはそのまま気にしない!
そうやって今までやってきたのに、一つ気が付くと次々と疑問符が沸いてくる。
あいつの『好き』はラブではなくライクだと思ってていいのか?
別に、どちらでも、二人の関係は変わらないと思っていた。
きっとこれから先も、どつきあい、笑い、付き合っていくのだと。
かけがえのない人というのは事実だし、どうしたって変わりっこない。
……本当に?
頭が冷えてきたのか、冷静になった心の中で可奈は問う。
本当に、変わらないと思う?
たとえば、燈馬君に別に好きな子がいたとして、その子といつも二人でいるようになっちゃったら、私はどう思う?
……嫌だ。すごく嫌だ。
私の、なんて私物化していいわけじゃないけど、燈馬君が他の誰かのものになってしまうのはたまらなく、嫌だ。
私と、私だけといて欲しい。
私だけを、見ていて欲しい。
じゃあ、自分はどうなのさ。
再度、自分自身に問う。
相手ばっかり自分を見て欲しいって、ずるいよね。
私は?
私の好きは、どっちなの?
……とりあえず、『今』は、燈馬君と一緒にいたい。
これだけしか考えられない、かな?
こんがらがった思考の糸を解くにはまだまだ不器用で。
とりあえずの結論を出しておく。
ああ、崖から飛び降りちゃった気がするなぁ、と力が抜ける。
落ちた先には何があるかはまだ判らないし、途中で引っかかって下まで行かないかもしれないけど。
それでも。
少しは、前向きに考えられるかな。
迎え撃つ、準備はできたかな?
あのまっすぐな瞳を、まずは見つめ返そう。
それから先は……わかんない!
可奈は頬をぺちっと叩くと、階段に戻る。
どこ行ってたんですか、と文句を言う燈馬の姿を想像しながら。
崖っぷち
『ピンチな状況で5つのお題』
提供屋様 http://teikyoya.web.fc2.com/