ラブストーリーの裏側で。
新刊の口の利き方に気をつけろよ事件のために興奮が冷めやらぬこの週末いかがお過ごしでしょうか?
感想のひとつも書ければいいのですが、昨日アップしたような萌え滾るものしか書けなそうなので、感想がわりにssを…………
新刊読まないと分からないネタなんで申し訳ないんですが(
「燈馬君、改めてお疲れ様」
映画の上演が終わった後。
混ぜてもらった打ち上げもそこそこに、燈馬君と私は先に上がらせて貰い帰路についた。……とは言っても、もういい時間だったりする。
「本当に疲れましたよ……」
ふぅ、と背中を丸める仕草を隣に見て、私は笑う。
駅まではちょっと離れているもんだから、等間隔に並ぶ少なめの街灯をくぐりながら二人肩を並べて歩く。
海が近いからか、ほんのり潮の香りと波の音が聞こえる。
風景と相まって、なんだかいつも二人で歩いてる時とは違う雰囲気のように感じてしまう。
それは、つい数時間前に見た蒲田さんの遺作を観たせいもあるかもしれない。
「でも燈馬君凄いな。よく完成させられたよね」
あの細切れだった映像素材をキチンと形に出来るなんて凄い。
私がそう言うと、燈馬君は、作りたかった映画のアウトラインは水原さんがSDカードを貰って来てくれたので解りやすかったので、と大したことでないように答えた。
「水原さんのあの振り返るカット良かったですよ、雰囲気出てて」
にこっと笑ってこちらを見る。
おかげでいい仕事が出来たと言わんばかりに。
「でしょ?演技とか無理だって思ったけど、あれはちょっと自信あったんだ」
咄嗟にする『対応する相手がいる』演技であれば何度もしているけれど、カメラ相手に演じるのなんて初めてだ。
後ろに人がいるように振り返ると言われてもどうすれば自然に見えるのか分からなくて、蒲田さんにアドバイスをして貰った。
「振り返った表情が、とても素敵でした」
言われて、映画館で見た、自分の顔を思い出す。
「あ……、そ、そう?」
あの時に貰ったアドバイスを思い出す。
アドバイス通りに出来ていた、と思われる表情。
私は、そういう時にはあんな顔をするのかと。
「何か想像して演技したんですか?」
そう問われて言葉を濁す。
「……内緒」
言える訳がない。
──自分の好きな人が後ろにいてね、ちゃんとついてきてるか気になって振り返るんだよ。
それで、すぐ近くに彼を見つけてほっとするような嬉しいような。
そういう気持ちでやってごらん──
そう言われて想像したのは、すぐ隣にいる人物だ。
そういう演技の相手に想定した相手がその向けられた表情を褒める。
……照れくさいに決まってるじゃないか。
燈馬君と私は、いつまで一緒に居られるんだろう。
振り返った時に、燈馬君は私の側にいてくれるんだろうか。
撮る時に言われた、想像した気持ちを思い返す。
思い返しながら、ちらり、と並べた肩を見る。
燈馬君はその様子に気がついて、不思議そうに首を傾げた。
「……どうかしましたか?」
多分。
今の私の顔は、大画面に写ってた物と同じだろう。
ほんのりと笑っているような、切ないような、嬉しいような、そんな顔。
「別に…………」
こっそりと、バレないように素早く俯く。
明るいうちでなくてよかった。
今なら闇夜が顔を隠してくれる。
街頭が頭上から照らしだすだけだ。
短く、長く、せわしなく動く影を足元に見ながら。
波の音に交じってぱたぱたと鳴る靴音を聞きながら。
なんだか、私は幸せな気持ちになった。
あぁ、本当に。
今私の側には、燈馬君が居てくれてる。
……嬉しいなぁ、と心底思う。
感想のひとつも書ければいいのですが、昨日アップしたような萌え滾るものしか書けなそうなので、感想がわりにssを…………
新刊読まないと分からないネタなんで申し訳ないんですが(
「燈馬君、改めてお疲れ様」
映画の上演が終わった後。
混ぜてもらった打ち上げもそこそこに、燈馬君と私は先に上がらせて貰い帰路についた。……とは言っても、もういい時間だったりする。
「本当に疲れましたよ……」
ふぅ、と背中を丸める仕草を隣に見て、私は笑う。
駅まではちょっと離れているもんだから、等間隔に並ぶ少なめの街灯をくぐりながら二人肩を並べて歩く。
海が近いからか、ほんのり潮の香りと波の音が聞こえる。
風景と相まって、なんだかいつも二人で歩いてる時とは違う雰囲気のように感じてしまう。
それは、つい数時間前に見た蒲田さんの遺作を観たせいもあるかもしれない。
「でも燈馬君凄いな。よく完成させられたよね」
あの細切れだった映像素材をキチンと形に出来るなんて凄い。
私がそう言うと、燈馬君は、作りたかった映画のアウトラインは水原さんがSDカードを貰って来てくれたので解りやすかったので、と大したことでないように答えた。
「水原さんのあの振り返るカット良かったですよ、雰囲気出てて」
にこっと笑ってこちらを見る。
おかげでいい仕事が出来たと言わんばかりに。
「でしょ?演技とか無理だって思ったけど、あれはちょっと自信あったんだ」
咄嗟にする『対応する相手がいる』演技であれば何度もしているけれど、カメラ相手に演じるのなんて初めてだ。
後ろに人がいるように振り返ると言われてもどうすれば自然に見えるのか分からなくて、蒲田さんにアドバイスをして貰った。
「振り返った表情が、とても素敵でした」
言われて、映画館で見た、自分の顔を思い出す。
「あ……、そ、そう?」
あの時に貰ったアドバイスを思い出す。
アドバイス通りに出来ていた、と思われる表情。
私は、そういう時にはあんな顔をするのかと。
「何か想像して演技したんですか?」
そう問われて言葉を濁す。
「……内緒」
言える訳がない。
──自分の好きな人が後ろにいてね、ちゃんとついてきてるか気になって振り返るんだよ。
それで、すぐ近くに彼を見つけてほっとするような嬉しいような。
そういう気持ちでやってごらん──
そう言われて想像したのは、すぐ隣にいる人物だ。
そういう演技の相手に想定した相手がその向けられた表情を褒める。
……照れくさいに決まってるじゃないか。
燈馬君と私は、いつまで一緒に居られるんだろう。
振り返った時に、燈馬君は私の側にいてくれるんだろうか。
撮る時に言われた、想像した気持ちを思い返す。
思い返しながら、ちらり、と並べた肩を見る。
燈馬君はその様子に気がついて、不思議そうに首を傾げた。
「……どうかしましたか?」
多分。
今の私の顔は、大画面に写ってた物と同じだろう。
ほんのりと笑っているような、切ないような、嬉しいような、そんな顔。
「別に…………」
こっそりと、バレないように素早く俯く。
明るいうちでなくてよかった。
今なら闇夜が顔を隠してくれる。
街頭が頭上から照らしだすだけだ。
短く、長く、せわしなく動く影を足元に見ながら。
波の音に交じってぱたぱたと鳴る靴音を聞きながら。
なんだか、私は幸せな気持ちになった。
あぁ、本当に。
今私の側には、燈馬君が居てくれてる。
……嬉しいなぁ、と心底思う。
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