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ぎゅーっとする(想可奈)

旅行から帰ってまいりました……
帰るまでに何個かSSの原型作ろう!と意気込んだものの、結果惨敗……orz
裏に回さざるを得ないような年齢制限物思いついてどうすんだよ。
しかも2本も。
平常運転なかんじのはこの一本のみでした。


いや、妄想ははかどりましたとも!ええ!!(威張れるコトか)

泊まったところが露天風呂のすぐ隣が池になってて鯉が寄ってくるんですけど、可奈ちゃん喜びそうだとか。
プールに来てる男子高校生くらいの子とか女子高生とか見てあーでもこーでも考えたりしたりですとか。

不振人物してました。
ホントすみません!


拍手用のもあげたかったんですが……
もうちょっと頑張ります。
てか、拍手SSに繋がってなくて申し訳ありません。
気がついて直しました……
いや、まぁ、まだ某所にUPした旧作なんですが。
ホントとろくさくってすみませんです。



動画は次何を作ろうか考えてません。
というか、思いつかない……
何かリクエストがありましたら受付中です。随時。














 ロキが大きく欠伸をする。
 もう寝たら?
 エバの声に、おう、と答えると、通りがかりに軽く抱きしめ、彼女の頬にキスをする。

 お休み、と後ろ姿で片手を挙げながら部屋を出る姿を見送ると、可奈は大きく息をついた。
 頭では理解してても、実際の行為を見ると面食らってしまう。

 これがかの国では普通のことなのか。
 日本だったら顰蹙ものだっての。






 「可奈っ」
 優はむぎゅーっと可奈を抱きしめる。
 仕事が終わったら3人で夕食を取ろうと約束していたため、手持ちぶさたな可奈は先に優の家へおじゃますることにした。
 優は快く受け入れてくれ、挨拶もそこそこにコーヒーを入れ、可奈をソファーに案内する。
 「久しぶりだよね~!想は元気?」
 「今日も元気に小難しい数式やら何やら解き回ってるわ、それより……」
 訊きたいことがあるんだけど。
 可奈が口にすると、興味津々といった様子で優は聞き入る。

 今し方、徹夜続きでフラフラのロキの部屋であったことを話す。
 こっちじゃこういうの普通なんですか?とエバに問えば曖昧に笑いつつ、えぇ、まぁと言う。
 そうなると当然、燈馬君も誰かしらと抱き合ったりキスしたりしているわけで。親しい間柄でなければそう誰でも彼でもするわけじゃないわよ、とは言われても、把握しきれていない人間関係に、気もそぞろになる。
 
 「想がハグをしてたか?うーん……あんまり人がよりつくタイプじゃなかったけど……それなりにしてたんじゃない?というかされる方が多かった気もする」
 自分の兄の幼いときのことを思い出す。
 かわいい、かわいいと赤の他人に撫でくり回される図しか思い出せない。 
 ある程度の年齢になると、逆に今度は遠巻きに見られることが多くなったけれど。
 「あー……確かに」
 その言葉に、可奈も思わず肯定する。
 あの性格、あの見た目じゃ、小さい頃はたぶんからかわれるなり、かわいがられるなりしただろう。
 大きくなってからは、微塵もそういう気配が感じられないけれど。
 「日本じゃしないもんね、そういうの」
 うんうん、そうなんだよね。
 手を繋ぐのも、せいぜい小学生の低学年までで。
 相づちを打ちながら淹れてもらったコーヒーをすする。
 幼少からアメリカにいる優には、その感覚はよくわからない。
 文化として理解はしてても、それに付随する感情を追体験は出来ない。どうしたって想像になる。
 「気になる?」
 火照った思案顔を覗き込む。
 「ど、どうかなぁ?」
 もう話を聞いてるだけで答えは明白なのに。
 なんとかごまかそうと可奈は思案するが、考えるだけムダだと悟り諦めて大きく頷いた。

 「想が帰ってきたら、ハグしてみたら?」
 名案だと思わない?とでも言うように優は明るく言う。
 明らかに狼狽する可奈の姿を目にしながら笑いが込みあげてくる。いつもながら思うけれど、こういった変にすれていない初心なところがかわいらしい。
 「だって、ここはアメリカだよ?不自然じゃないって」
 反対に、暗い表情で可奈は受ける。
 正直、あのとっさに抱きついてしまった時でも気恥ずかしくてしばらくどうしようもなかったのに、また同じ思いをしないといけないのかと思うと気が重い。
 「そーゆーモン?」
 恐る恐る、訊いてみる。
 「そーゆーモンです」
 優は間髪入れず大きく頷いた。
 

 頼まれていた仕事が終わり、想は優のアパートのドアを叩く。はい、と優が出迎えると、息をつきながら部屋に入ってきた。
 「やっと終わりました……って、水原さん、大丈夫ですか?顔真っ赤ですけど」
 いつもの様子ではない可奈を目にすると、想は心配そうに
見つめる。
 「…………」
 可奈はどうしても一歩が出せない。
 ぐるぐるぐるぐる考えてしまって、体中がこわばっている。
 別に今しなくても、とか弱気なことを考えたりしているうちに、しびれを切らした優に背を押される形で、よろよろと想に近づく。
 それでも手を組んだまま視線をそこここに走らせ思いを廻らせていたが、なんとか意を決して、想の胸に飛び込む。
 左肩に顎を乗せ、腕は背中に回す。
 きっとすごい顔をしてるから、身動きが取れないようきつく腕を締める。
 絶対顔は見せない。
 顔を見たらもっとすごい顔になりそうだから、見ない。
 ぎゅーっと抱きしめられる格好になった想は、所在の無い手を収まるまま、可奈の腰に落とした。 

 「……お帰り」
 不機嫌そうな声を耳元で聞く。
 「どうしたんですか?」
 「ハグよハグ!文句ある?!」
 身じろぎもできないほど、締め挙げられている。
 これは、ハグというかなんというか。  
 「……ありません、けど」

 「何があったの?優」
 可奈を抱いたまま、優に視線を投げる。
 優は心底楽しそうに微笑む。
 「可奈と、想がどれくらいハグしたことがあるのか?って話をしてたの」
 「これくらい、こっちじゃ普通なんでしょ?」
 「それはまぁ、そうですが……」
 一体、どういう話をすればこういう展開になるのか。
 大方、優が面白がって色々言ったに違いない。
 「あ、私、夕食の買い物行ってきま~す」
 当の本人は急に思いついたかのように、ぽん、と手を叩きながらぱたぱたキッチンと玄関を駆け回る。
 非常にわざとらしい。 

 ごゆっくり。
 声には出さずに唇で表す。
 お節介なのか楽しんでるのか。
 たぶん両方だろう妹の気の回し方に苦笑する。
 足早に去っていく後ろ姿が玄関の扉越しに消えるのを確認すると、腕の中で思考停止しているものをどうしようかと思案する。 

 「……じゃあ、僕からハグしてもいいですか?」
 言った傍から口元が緩む。 
 が、その様子は可奈から見えない。
 「う、うん、……いいよ」
   
 彼女の言葉を待って、そっと、腰を引き寄せる。
 緊張して力任せに抱きつかれた先程より、体の位置が近くなる。
 ひゃ、と可奈の口から空気が漏れる。
 覚悟はしているつもりでも、やっぱりしきれていないようで、心臓が痛いくらいに鼓動を早める。
 息もできないほど、胸がぎゅーっと締め付けられる。

 「大丈夫ですか?すごい顔色してますけど」
 想が、顔をのぞき込もうとする。 
 「へ、平気、平気よ!」
 その視線から逃れるように、可奈は必死に顔を逸らす。
 もう、自分の表情筋がどう動いているのかすら定かではない。ただただ、顔が熱い。
 「……声、上擦ってますけど?」
 言いながら想は細かく震える頬に唇を落とす。
 その感触にびくっと体が跳ねる。
 「なななななな、何?」
 「あいさつのキスです」
 狼狽える声に笑いを押し殺しながら答えると、もう明らかに先程より熱くなっている相手が、いつもと違う声調子で

 「そ、そーかー……あいさつのきすかー……」
 と息も絶え絶えに呟いた。



 想ったら、……完全に遊んでる。
 このまま買い物に行ったら可奈が大変なことになりそうな気がしないでもないけれど。
 ま、いいか。
 
 優は聞き耳を立てていたドアに背を向けると、スキップしながら階段を駆け降りた。
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