忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

拍手(現在3種ランダム)web拍手

そうして、僕のクローゼットの一画が水原さんの領域となった。

そんなわけで、通販分の方に押しつけるお渡ししたSSでございます……!
今後も次の新刊まではお配りはしますが、今回冬コミでペーパーが配れなかったのでここで……!!

内容は冬コミの新刊の「クレイジー・フォ-ユー」の後の話という感じで読んで頂けると嬉しいかなぁと。そんな感じなので年齢制限はありませんが事後表現アリなので注意なのですっ


ゲスい話ですがすみませんっ










「そうして、僕のクローゼットの一画が水原さんの領域となった。」







 行為が終わり気だるいまま、僕と水原さんはベッドに転がっている。肌と肌が離れるのが嫌で後ろから抱えたまま余韻を楽しんでいると、水原さんが大きく息を吐くのを背中越しに感じた。

「……どうしましたか?」
 好意的なため息には感じられなくて訊いてみる。
 行為に不満があるとするなら改善しなければいけない。無理を強いてしまっているのでいればなおのこと。
 水原さんは、再度ため息を吐いてからぽそりとこぼした。

「……燈馬くんはさ、私をノーパンで帰したい訳?」

 ……は? と思わず聞き返す。
 水原さんは言ったまま、言葉を後に続けない。
 質問の意図がよくわからないので、仕方なしにもう一度問うてみる。
「そういう趣味はないんですが……なんの話ですか?」
 水原さんは言いにくそうに頭をひねった。どんな表情をしているのかはこちらからは見えない。でもだからと言って覗き込んだらどんな目に遭うのやら。
 言うまで静かに抱きしめながら待っていると水原さんはくるり、とこちらに向き直る。恥ずかしそうに僕の胸に頭を当ててこちらを見ないまま、ぼそりぼそりと不満を漏らす。

「さっきした後さ、……私新しい下着着けたじゃない? で、それなのにまた、こう…………ね、言いたいこと、解る?」
 さっき……水原さんを衝動のまま書庫で抱いてしまって、彼女は事が済んだ後「仕事が」と言いながら手早く汚れた下着に手をかけて交換した。けれど僕ときたら。その一回じゃ飽き足らず、水原さんの手を引いてこうやって寝室のベッドに沈めた。
 さて、着替えたばかりの衣類は今はどうなったでしょう?

 言わんとしていることを察して言葉を失う僕に、水原さんはまたため息を吐いた。
「いつもそうだよね……燈馬君って。こうなるって解ってるから替えの下着は持って来てはいるけどさぁ。下着だけじゃなくて制服にも付いたら悲惨なんだよ、解る?」
 確かに、たまに水原さんがこそこそとバスルームに籠っていることは知っているし、何をしているのかも解っていた。でもそういうことをあまりこちらから指摘するのも申し訳ないわ嫌な思いをさせやしないか等、結構色々考えてしまって今の今まで何も触れていなかった。

「それは……すみません。軽率でした」
 謝ったものの、実は腑に落ちない。
 それならばする前に服を脱げば汚れずに済む話だし、嫌なら断れば無理強いはしない自負がある。明らかにこちらに非があるのならば責められるのは当たり前だけれど、これは僕だけの責任ではない気がする。
「でも」
 だからついつい、反論が口をつく。
「水原さんだって悪いんじゃないですか。素直になればいいのにギリギリまで我慢するから。だからいっぱい濡れ」
「わぁぁぁぁぁ!!」
 水原さんは焦って僕の口を塞ぐ。塞いだところであまり意味は無いけれど、必死に誤魔化すように頭をぶんぶんと左右に振った。
「だってそれは! ……は、恥じらいってヤツだろ、解れよ!」
「恥じらったってすることは変わらないでしょ? だったら最初から裸になっちゃえばいいじゃないですか。そうしたらもっと早く気持ちよくしてあげられるのに」
 つ、と首筋に指を這わせると、水原さんはびくり、と肩を震わせた。その仕草が可愛くて、折角治まった熱がまた燻り始める。
 出来ることなら何度だって抱いていたいのに、彼女はそれを許さない。手を振り払い、下から僕を睨み付けて牽制しているようだった。……むしろ逆効果で、涙目のままの上目遣いに見えるから余計に可愛らしくて仕方がない。
「そりゃそうなんだろうけどさ! いつになったって恥ずかしいもんは恥ずかしいの! 抱いて欲しいって素っ裸にすぐなったら盛ってるみたいでドン引きじゃん!」
「僕は凄く嬉しいんですけどそれじゃダメなんですか? 僕にならずっと盛ってていいんですよ?」
「~~~~っ! とにかく無理なの!! 乙女の矜持ってやつなの!!!」
 顔を真っ赤にしながら水原さんはなりふり構わず飛び起きた。
 ばさりと掛け布団が払い退けられ、のしのしとバスルームに向かう背中を微笑ましく思いながらのんびり見送る。
 汗やら何やらを流しながら、またいつものようにしばらく篭って下着を洗ったりするのだろう。一緒に入ろうとして邪魔したら、また鉄拳が飛んでくるに違いない。僕は仕方なく、水原さんが身支度を最低限整える間の十数分を、布団の中で過ごすことにした。


「毎回手洗いしては乾かしてじゃ手間がかかってましたよね?」
 洗面所のドア越しに話しかけると、水原さんはまぁね、と返事をした。入っても大丈夫な様子だったので扉を開けると、乾燥機をじっと眺める背中が見えた。
 今回の被害はシャツとスカートと……下着が二組。流石にスカートは乾燥機にかけられないらしく、バスタオルで包んで洗面台の前に置いてある。
「急ぎの時とかは乾燥機よりドライヤーのが早いから借りたりしてたしこれからアイロンも借りたいんだけど。……どう? 今回は特に被害が多かったんだけど。少しは反省した?」
「少しじゃなくて、かなり反省しました」
「……よろしい」
 水原さんは満足げに肯いた。

「そしたら、替えを僕が準備しておいたら楽になりますか?」
 きょとん、とした顔で、水原さんが振り返った。
「いやいや……男子高校生に下着とか制服とか買わせる訳にゃいかないだろ……! ヘタしたら犯罪者扱いされるし」
「でも、手間を考えたらそれが一番ラクですよね?」
「私としては衝動的に二度も三度もしなければ負担は無いし……」
「それはムリですね」
「えー……」
 即答する僕に、水原さんは呆れた視線を投げてくる。
 二人きりでいる時は水原さん自身が恥ずかしくないからか必要以上に寄ってきてくれるし触れてもくれる。手を伸ばしても怒られないし、その上甘えてくれたりもする。この状態で我慢しろ、という方が無理な注文だと思う。

 水原さんはとりあえず、と僕をバスルームに押し込んだ。
 扉越しに色々考えている様子を見ながら手早く僕も汗を流し外に出ると、タオルを投げながらじゃあさ、と彼女は提案してきた。
「クローゼットの引き出しを一段だけ貸してくれない?」
「引き出し、ですか?」
「うん、そう。予備は今まで通り持ってくるけどさ、予備の予備って感じで置いてかせて貰えれば安心かな。急ぎで帰りたい時とかには使えるし。あ、当然中の物はお触り厳禁で!」
 乾燥した衣類を確認しつつ、水原さんがにこりと微笑む。
「まぁ……元々僕の衣類なんて少ないから構いませんけど」
 僕が頷くと、水原さんはじゃあ早速! と洗面所を後にした。
 彼女は寝室に戻りクローゼットを開けて、比較的空いていた引き出しを無遠慮に詰め直していった。手早く自分の分を確保して、先程乾かしたばかりの一方をタオルに包んでそこに詰めたら、水原さんは心底満足そうな顔をして、様子を覗いていた僕にVサインを送ってきた。

*******

「で、何で引き出し一段がいつの間にやら一画になってるんですか?」
「細かいこと気にしない! どうせ余ってるんじゃん」

 僕のクローゼットは、現在、女性物の衣類が二割を占めている。引き出しだけでは入りきれなかったりシワを付けたくない衣類は遠慮なしにハンガーラックに掛かっていたりする。
 僕の衣類だけの時とは違ってかなり色彩豊かに、華やかになっている。
 燈馬君と出た先で買ってもらった服とかならこっちに置いておきたいじゃん? と言われると断りづらいし、また僕の目の前で着てくれるのかも、と若干期待してしまう所もある。
 今の状況はそんなに悪い気はしていないけれど、さらにクローゼットが狭くなりそうな気がするので言わないことにする。
「レンタル料を取りたい気分なんですが……まぁ、いいです」
 たった今、また収納物が増えたクローゼットの前に無防備に立つ水原さんを背後から抱き寄せる。
「身体で払って貰いましょう」 
「……っ、ちょっと、……っ、今日はもう何度もしたじゃん……!持ってきた替えも、もう……!」
「そのために着替えを置いたんでしょ?」
「ち、ちが……! っそれは、もしもの時のため……、んっ!!」
「今がもしもでいいじゃないですか?」
 焦ってもがく水原さんの腕を、足を取る。


 今日は時間を気にすることもないし、着替えは小旅行が出来るくらいに持ち込まれている。心配事なんて何もない。

 ……そうか、水原さんに着て貰いたい服を用意して置いておけばよかったのか。そしたら洗濯が終わるまでの間、それを着て待っていてくれるかも。でも僕の理性が持たなくてまた洗濯物を増やしてしまうかも。水原さんに怒られるのは覚悟しないといけないな。


 抵抗らしい抵抗もできないまま陥落している水原さんを組み敷きながら、僕は楽しい展望を心の中で重ねていた。
PR
拍手(現在3種ランダム)web拍手

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

 


燈可奈アンソロ企画始めました!ご参加お願いしますっ!(切実)
SSはメインページから
気が向いたときにしか収納されない本サイト(爆)

このサイトについて

Q.E.D.証明終了想可奈無節操二次創作何でも置き場です。
拍手は各記事。拍手レスはコメントにて返させていただきます。
>>>はじめに(リンク等)
>>>通販について

Twitter

結構燈可奈絵をあげたりしてるのでお気軽にフォロミー。

貴方の還る場所(日記)