11000hitありがとうございました。
激遅ですが……
キリ番リクがないことをいいことに放置しておりました……
今日から衣替えだなぁ。
ブレザー可奈ちゃん描きたいなぁ。
ということで描いたら可愛くかけたので、フリーにしちゃえぃ!
と思い立ちました。
今回のフリーSSは絵と連動しとりません……(汗
テーマはこちらも衣替えでした。
SS「十月一日。」
風が抜けると、露わになった腕が粟立つ。
「そーだよなぁ。 ここんとこ、帰りは寒いもんなぁ」
可奈は両腕を抱え、うんうん、と頷く。
日も短くなり、辺りはほんのひと月前の同じ時間と比べると明らかに暗い。
日中の暑さについつい忘れがちになるが、もう暦の上では秋真っ只中。
日差しがなければ、当然の事ながら肌寒い。
敗因は、寝坊だ。
寝坊してなかったら、今日から衣替えだということに気がついたと思う、多分。
学校に着いたら、周りはみんな上着を着ていて。
すごく気まずい気分でなんとか一日を終えたけれど。
よもや、最後の最後にも、こんな伏兵が残されていようとは。
こんな日は、寄り道せずに帰ろう。
寒い思いをして風邪をひいてしまうのもばかばかしい。
冷えた肌を手のひらでぺたぺたと温めながら、急ぎ足で下駄箱へ向かう。
多分、教室で想が待っているはずだ。
下駄箱に着くと、もうすでに帰り支度を終えた想が待っていた。
「そろそろだと思ったので」
手を振り、微笑む姿が薄暗い中ぼんやり見える。
当然だが、想はきちんと上着を着ている。
ああ、羨ましい。
忘れたのは自分だから仕方がないんだけれど。
風が通り抜ける度、くふ、と寒さで吐息が漏れる。
隣に肩を並べるとよく分かる。
自分は半袖。
相手はブレザー。
あんまりにも、季節感が違う。
あんまりにも、ちぐはぐだ。
夕闇が指先まで暗く染め上げるさまが目に入ると、肌寒さが気持ち助長される。
途中途中の店の明かりが暖かそうに足元を照らすけれど。
その誘惑に負けた後、再度外に飛び出す苦痛を考えると。
あぁ、寒いなぁ。
ついつい、腕に手が行ってしまう。
だんだん伝える熱もなくなってきたちょっとひんやりする手のひらでも、風から逃れるための盾にはできる。
思いついて鞄を試しに抱いてみると、そこそこ風よけになり、寒さを凌げる。
ぎゅ、と抱いて歩いてる様は、多分あまりいい絵面ではないんだろうけれど。
それでも、寒いよりはマシだ。
「水原さん」
「ん?」
振り返るより先に、ばさっと何かが肩に掛かる。
うわぁ。
暖かい。
自然と頬が緩むのが分かる。
「家まで送りますから。それまで着ててください」
肩から上着が落ちそうになるのを慌てて手で抑える。
「燈馬君は寒くないの?」
「水原さんと違って、下も長袖ですから」
振り返ると、夕暮れの中、白いシャツ姿がはっきり見える。
直前まで着ていたためか、まだ想の体温が残る上着は、本当に暖かくて気持ちがいい。
寒い、寒いとそればかりが意識を占めていた為、その感動はひとしおだ。
想の気持ちに甘えることにして、胸から鞄を下ろし、袖に手を通す。
男物のブレザーを着るのは、なんだか、気恥ずかしい。
誤魔化すつもりでくるり、とその場で回る。
似合う?と茶化して訊いてみると。
サイズがあまり変わらないですよね、と妙に冷静に言われる。
サイズは似たりよったりでも肩幅だったり、胴回りだったり。
縫製が違うから多少はだぼっとしている。
これから毎日着るであろう、自分のブレザーは、もっとぴったりと体に合うはずだ。
体型が変わってなければ。
「大丈夫ですか?」
「何が?」
「顔が赤いですけど……風邪ひいちゃいました?」
想が心配そうに首を傾げる。
大丈夫、大丈夫と手を振っても、なかなか納得した顔をしない。
自分の物との違いを考えてしまったら。
唐突に、このブレザーが燈馬君のだって自覚してしまって。
さっきまで有り難がってた服に残る温もりとか。
さっきまで気にしてなかった香りとか。
そういう諸々が、関係して。
なんか、燈馬君に包まれてるような気がしたなんて。
言える訳、ないだろ。
そんな気も知らず、想は可奈の冷えた手をひょいと取る。
冷たいですね、と呟かれ。
可奈の体温はさらに上がった。
キリ番リクがないことをいいことに放置しておりました……
今日から衣替えだなぁ。
ブレザー可奈ちゃん描きたいなぁ。
ということで描いたら可愛くかけたので、フリーにしちゃえぃ!
と思い立ちました。
今回のフリーSSは絵と連動しとりません……(汗
テーマはこちらも衣替えでした。
SS「十月一日。」
風が抜けると、露わになった腕が粟立つ。
「そーだよなぁ。 ここんとこ、帰りは寒いもんなぁ」
可奈は両腕を抱え、うんうん、と頷く。
日も短くなり、辺りはほんのひと月前の同じ時間と比べると明らかに暗い。
日中の暑さについつい忘れがちになるが、もう暦の上では秋真っ只中。
日差しがなければ、当然の事ながら肌寒い。
敗因は、寝坊だ。
寝坊してなかったら、今日から衣替えだということに気がついたと思う、多分。
学校に着いたら、周りはみんな上着を着ていて。
すごく気まずい気分でなんとか一日を終えたけれど。
よもや、最後の最後にも、こんな伏兵が残されていようとは。
こんな日は、寄り道せずに帰ろう。
寒い思いをして風邪をひいてしまうのもばかばかしい。
冷えた肌を手のひらでぺたぺたと温めながら、急ぎ足で下駄箱へ向かう。
多分、教室で想が待っているはずだ。
下駄箱に着くと、もうすでに帰り支度を終えた想が待っていた。
「そろそろだと思ったので」
手を振り、微笑む姿が薄暗い中ぼんやり見える。
当然だが、想はきちんと上着を着ている。
ああ、羨ましい。
忘れたのは自分だから仕方がないんだけれど。
風が通り抜ける度、くふ、と寒さで吐息が漏れる。
隣に肩を並べるとよく分かる。
自分は半袖。
相手はブレザー。
あんまりにも、季節感が違う。
あんまりにも、ちぐはぐだ。
夕闇が指先まで暗く染め上げるさまが目に入ると、肌寒さが気持ち助長される。
途中途中の店の明かりが暖かそうに足元を照らすけれど。
その誘惑に負けた後、再度外に飛び出す苦痛を考えると。
あぁ、寒いなぁ。
ついつい、腕に手が行ってしまう。
だんだん伝える熱もなくなってきたちょっとひんやりする手のひらでも、風から逃れるための盾にはできる。
思いついて鞄を試しに抱いてみると、そこそこ風よけになり、寒さを凌げる。
ぎゅ、と抱いて歩いてる様は、多分あまりいい絵面ではないんだろうけれど。
それでも、寒いよりはマシだ。
「水原さん」
「ん?」
振り返るより先に、ばさっと何かが肩に掛かる。
うわぁ。
暖かい。
自然と頬が緩むのが分かる。
「家まで送りますから。それまで着ててください」
肩から上着が落ちそうになるのを慌てて手で抑える。
「燈馬君は寒くないの?」
「水原さんと違って、下も長袖ですから」
振り返ると、夕暮れの中、白いシャツ姿がはっきり見える。
直前まで着ていたためか、まだ想の体温が残る上着は、本当に暖かくて気持ちがいい。
寒い、寒いとそればかりが意識を占めていた為、その感動はひとしおだ。
想の気持ちに甘えることにして、胸から鞄を下ろし、袖に手を通す。
男物のブレザーを着るのは、なんだか、気恥ずかしい。
誤魔化すつもりでくるり、とその場で回る。
似合う?と茶化して訊いてみると。
サイズがあまり変わらないですよね、と妙に冷静に言われる。
サイズは似たりよったりでも肩幅だったり、胴回りだったり。
縫製が違うから多少はだぼっとしている。
これから毎日着るであろう、自分のブレザーは、もっとぴったりと体に合うはずだ。
体型が変わってなければ。
「大丈夫ですか?」
「何が?」
「顔が赤いですけど……風邪ひいちゃいました?」
想が心配そうに首を傾げる。
大丈夫、大丈夫と手を振っても、なかなか納得した顔をしない。
自分の物との違いを考えてしまったら。
唐突に、このブレザーが燈馬君のだって自覚してしまって。
さっきまで有り難がってた服に残る温もりとか。
さっきまで気にしてなかった香りとか。
そういう諸々が、関係して。
なんか、燈馬君に包まれてるような気がしたなんて。
言える訳、ないだろ。
そんな気も知らず、想は可奈の冷えた手をひょいと取る。
冷たいですね、と呟かれ。
可奈の体温はさらに上がった。
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