台風一過
台風+休校+中間考査で一つ。
久しぶりのssなんでリハビリ……
ぜんぜんCPぽくないですが^_^;
2014/10/07 ちょっと手直し。
「雨ってぇか、風が凄いんだよね」
窓の外を見ながら、ため息をひとつ。
「学校休みなのは嬉しいけど、テレビは面白いのやってないし、窓も閉めっきりで息が詰まるしさ。つまんないんだよね」
「それで話し相手が欲しかったんですか……」
呆れた声で、想が受話器越しに呟いた。
その様子に、思わず可奈の頬が緩む。
特に用事がないと解っても、想は電話を切らない。
「燈馬君もどうせヒマなんだろ?」
いつも通りに決め付けると、ふぅ、とため息が向こうからも聞こえる。
その様子が、なんだか可笑しい。
「……時間があるに越したことはないですよ。やりたいことはいろいろありますし」
想の部屋は防音が効いている。
がたがたとせわしなく窓を叩く風音などはなく、普段通りに思考に耽ったり読んだり、文字通り色々できるのだろう。
………ずるいなぁ。
可奈の部屋といったら、窓の外の様子が音と共に自己主張をしていて、視覚も聴覚も遮ることも出来なく余計にフラストレーションを貯めていく一方だ。折角の休みを満喫できない。
「中間考査の勉強期間が1日延びたんです。水原さんには大事な仕事があるじゃないですか」
赤点を取らなくても済むかもしれませんよ、と、そこに余計な一言を投下された。
そういえば、本当は今日から試験だった、とわざと忘れていた事を思い出す。
イライラしたものが、余計に胸に溜まっていく。
「そりゃそうだけどさ、どうせ今更詰め込んでもムダじゃん!」
「昨日一緒に勉強した所の復習をするだけでも違いますよ」
そうはいわれても、とベッドの上にそのまま転がる。
昨日、最後の復習と想の家で勉強させてもらった時。
息抜きと調子に乗ってベランダに出た時に思った以上に風力が強かった。
帰るために下に下りたときはそれほど風は感じられなかったので、高度があればあるほど、風の影響はあるのだろう。
……正直な話、結構風がすごいから燈馬君君の所大丈夫かなって気になってたのもあって電話したんだよね。
高層階だからうちよりも風が強そうだしなぁ。
電話から聞こえる声があんまりにも普段通りだから拍子ぬけだ。
「……もう少ししたら台風が抜けますから、そうしたら晴れますよ」
可奈のつまらなそうな様子が見えるかのように、宥める声で想は言う。
「風はしばらく残りますけど、少なくとも締め切りの息苦しさからは解放されますよ」
雨がぱつぱつと窓を打つ。今が雨のピークだろうか。
もう少ししたら、この雨が止むのか。
風はがたがたと窓を叩く。
これだけ風が強ければ、それはそんなに先のことではないだろう。
台風が雨雲を一つ残ららず連れ去ったら、秋の抜けるような青空が広がるのだろうか。
時計を身体を起こして見る。それは、あとどれくらいだろうか。
まだまだ、今は午前中だ。
数時間して台風が抜けても、まだ一日は残っている。
「そうしたらさ、」
可奈は先ほどとは打って変わって明るいトーンで話し出した。
「燈馬君ちに行ってもいい?」
あまりの変貌ぶりに、想は相槌を打つのを忘れたがそんなのお構いなしに可奈は続ける。
「燈馬君の邪魔はしないよ。ただ遊びに行くだけだからさ」
「それは、構いません、けど……」
何をするんですか?という想の問いには答えず、可奈はじゃあね、とそのまま手早く通話を切った。またかかって来るかと思ったけれど、聞き返してもどうせ答えないだろうと判断したのか、そのまま想から電話は返ってこなかった。
台風一過の、澄んだ空気を想像する。
それはどんなに気持ちいいだろう。
締め切った窓を開けて、雨で洗われた空気が部屋に満ちるのを吸い込むのもいい。
一緒にベランダに出て空を見上げるのもいい。
息がつまり鬱憤の溜まったこの気持ちを晴らすんなら、一人じゃなくて二人がいいな。
唐突に、可奈はそう思いついたのだった。
……さて、晴れるまではあとどれくらいだろうか。雨がやむまでどれくらいだろうか。
あきらかに先程とは違う心持ちで、可奈は窓の外を覗き込んだ。
久しぶりのssなんでリハビリ……
ぜんぜんCPぽくないですが^_^;
2014/10/07 ちょっと手直し。
「雨ってぇか、風が凄いんだよね」
窓の外を見ながら、ため息をひとつ。
「学校休みなのは嬉しいけど、テレビは面白いのやってないし、窓も閉めっきりで息が詰まるしさ。つまんないんだよね」
「それで話し相手が欲しかったんですか……」
呆れた声で、想が受話器越しに呟いた。
その様子に、思わず可奈の頬が緩む。
特に用事がないと解っても、想は電話を切らない。
「燈馬君もどうせヒマなんだろ?」
いつも通りに決め付けると、ふぅ、とため息が向こうからも聞こえる。
その様子が、なんだか可笑しい。
「……時間があるに越したことはないですよ。やりたいことはいろいろありますし」
想の部屋は防音が効いている。
がたがたとせわしなく窓を叩く風音などはなく、普段通りに思考に耽ったり読んだり、文字通り色々できるのだろう。
………ずるいなぁ。
可奈の部屋といったら、窓の外の様子が音と共に自己主張をしていて、視覚も聴覚も遮ることも出来なく余計にフラストレーションを貯めていく一方だ。折角の休みを満喫できない。
「中間考査の勉強期間が1日延びたんです。水原さんには大事な仕事があるじゃないですか」
赤点を取らなくても済むかもしれませんよ、と、そこに余計な一言を投下された。
そういえば、本当は今日から試験だった、とわざと忘れていた事を思い出す。
イライラしたものが、余計に胸に溜まっていく。
「そりゃそうだけどさ、どうせ今更詰め込んでもムダじゃん!」
「昨日一緒に勉強した所の復習をするだけでも違いますよ」
そうはいわれても、とベッドの上にそのまま転がる。
昨日、最後の復習と想の家で勉強させてもらった時。
息抜きと調子に乗ってベランダに出た時に思った以上に風力が強かった。
帰るために下に下りたときはそれほど風は感じられなかったので、高度があればあるほど、風の影響はあるのだろう。
……正直な話、結構風がすごいから燈馬君君の所大丈夫かなって気になってたのもあって電話したんだよね。
高層階だからうちよりも風が強そうだしなぁ。
電話から聞こえる声があんまりにも普段通りだから拍子ぬけだ。
「……もう少ししたら台風が抜けますから、そうしたら晴れますよ」
可奈のつまらなそうな様子が見えるかのように、宥める声で想は言う。
「風はしばらく残りますけど、少なくとも締め切りの息苦しさからは解放されますよ」
雨がぱつぱつと窓を打つ。今が雨のピークだろうか。
もう少ししたら、この雨が止むのか。
風はがたがたと窓を叩く。
これだけ風が強ければ、それはそんなに先のことではないだろう。
台風が雨雲を一つ残ららず連れ去ったら、秋の抜けるような青空が広がるのだろうか。
時計を身体を起こして見る。それは、あとどれくらいだろうか。
まだまだ、今は午前中だ。
数時間して台風が抜けても、まだ一日は残っている。
「そうしたらさ、」
可奈は先ほどとは打って変わって明るいトーンで話し出した。
「燈馬君ちに行ってもいい?」
あまりの変貌ぶりに、想は相槌を打つのを忘れたがそんなのお構いなしに可奈は続ける。
「燈馬君の邪魔はしないよ。ただ遊びに行くだけだからさ」
「それは、構いません、けど……」
何をするんですか?という想の問いには答えず、可奈はじゃあね、とそのまま手早く通話を切った。またかかって来るかと思ったけれど、聞き返してもどうせ答えないだろうと判断したのか、そのまま想から電話は返ってこなかった。
台風一過の、澄んだ空気を想像する。
それはどんなに気持ちいいだろう。
締め切った窓を開けて、雨で洗われた空気が部屋に満ちるのを吸い込むのもいい。
一緒にベランダに出て空を見上げるのもいい。
息がつまり鬱憤の溜まったこの気持ちを晴らすんなら、一人じゃなくて二人がいいな。
唐突に、可奈はそう思いついたのだった。
……さて、晴れるまではあとどれくらいだろうか。雨がやむまでどれくらいだろうか。
あきらかに先程とは違う心持ちで、可奈は窓の外を覗き込んだ。
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