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不摂生につける薬を切に願う。

リハビリなので、お手柔らかに願います……
書かないと書けなくなりますね・・・がんばろorz








「何かあった?」

「いえ、別に?」

 私が首を傾げると、燈馬君も同じように頭を傾けた。


 ……おかしい。

普段からあんまり喋る方ではないけど、今日はいつにも増して無口だ。

 特に「そういう」関係になってからは用事がなくても隣に座ったり話しかけて来る事が多いのに。私が一方的に話してただ聞いてるだけ、というのは随分と久しぶりな感じがした。それに何よりも表情が無いのが変だ。努めて変化をさせないようにしているみたいで。


「私、何か気に触るようなコト言った?」

 多分めちゃくちゃ訝しそうに、私は問う。

 それに応えて、今度はふるふると首を振る燈馬君。その表情はさっきとは違って困ったように眉根が寄ってはいるけれど、やっぱりぎこちない。

「なんか私の話を聞いててもつまんなそうだし、そもそもいつもと違ってこっちに来ないし。仕事ない時は大体ここで話してんじゃん?」

 今座ってるソファーの隣を指差す。

 自分で言いながら、避けられてるみたいな感じを自覚しちゃってさみしい気もする。

 そんな訳はないのは重々承知してるんだけど、そう感じるのは理屈じゃなくて本能だ。いやいや煩悩だ。いたいけな乙女心だ。仕方がない。


 私の不満げなふくれ面に観念したのか、燈馬くんがのろのろと立ち上がる。

 無言のままぽてぽてとこちらに歩いてきて、すとん、と私が指した場所に座る。

 しばらく無言のまま固まるのでどうしてくれようかと考えていると、意を決した顔をして、けれど声は情けなく弱々しい調子で、燈馬君はぽそぽそと呟いた。


「……口内炎、が……」

「は?」

「大きいのが、できちゃって。舌に。あまり動かしたく、ないんですよ」

 休み休み舌ったらずに話す燈馬君は、苦悶の表情をちょくちょく織り交ぜながら真面目な顔で私に伝えようと努力をしている。歯が患部に当たるたびに痛いんだろう。

 見せてみ? と寄ってきた頭を押さえてみると、確かにデカイやつが舌の横っちょにひとつ。位置がめちゃくちゃ悪い。これは何をするにも舌と歯が当たる。

「不摂生してっからだろ。ビタミン不足なんだよ」

 そんなことない筈なんだけどな、と言わんばかりの顔をする燈馬君……サプリメントじゃなくてちゃんと食べ物で摂らなきゃ偏るだろ。まぁ、それはそれとして。

「口内炎は解ったけど、なんでさっきまで遠かったワケ? いつもなら私がウザがるくらいに距離近いのにさ」

 そう問うと、実に実に複雑そうな目線がこちらに向けられる……コイツ話さなくても表情豊かだな。見てて飽きないわ。知ってたけど。


 また痛みに耐えながら紡ぐであろう言葉を、私は待つ。辛かろうが、私だって寂しかったんだい。教えてくれなきゃフェアじゃない。



「だって、辛いじゃ、ないですか」

「何が?」

「触ると、したく、なるから」

「何を?」

「キス」

「…………」


 真面目な顔で何を言うか。

 てか、痛みと私を天秤にかけるか。

 私は思わず頭を抱えた。

 ……いやまぁ、私的にも、燈馬君が痛くない方を取って貰いたいけどさ。

なんか、その。……複雑だなぁ、オイ。

 さっきまでの感情と相まって、ちょっと自分でもなんとも言い難い気持ちが胸に渦を巻く。

 最初から口内炎あるから喋れません、だとかなんとか言ってたらまた違ったのかな? いやいや、口内炎あるから近寄りませんとか意味不明だしどちらにせよこんなよくわかんない空気にはなったか。


 そんなこんなで混乱中の私を、気がつくといつの間にやらがっちりと燈馬君は抱きしめている訳ですが。……どういうことなの? コレ。

 思案から覚めた私は、妙に達観した様子の燈馬君に一応抵抗を試みてみる。


「じゃあ、キスは治ったらだな」

「痛くても、いいです」

「やだよ感染るし?」

「感染りませんよ、コレ」


 絡みついてる手を押しのけようとしてもびくりともしねぇ。腹を決めると頑固なのは知ってるけどさ、労ってる私の心の葛藤を少しは解れよ。


「でもさ、してたら治るの遅くなるんじゃね?」


 そう言おうとしてるそばからいとも簡単に、私は唇を奪われる。切羽詰まったような顔なんてされちゃったらさ、気持ちも考えも霧散しちゃって、どうでも良くなっちゃうじゃん。

 もしかしたら、燈馬君もさっきは「さみしい」って思ってくれてたのかな? なんて気がつきつつもなすがままされるがまま。


 口内炎に舌が当たるたびに痛そうに身体が強張るんだけど、それはまぁ……自業自得だし天罰だよね。
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